微かに震えた指先を
絡ませて想うことは、ひとつだけ。












雨上がりの朝は












僕の心臓は今、破裂しそうなほど煩い。

というのも、僕のすぐ横には 雨に濡れて
服を透かせ、髪から水を滴らせている一騎が 隣に座っているからだ。

そして尚且つ、密室という状態なのだ。





ことの始まりは、雨宿りだった。
学校帰りに突然降り出した雨。
普段なら、折りたたみ傘のひとつでも持ち合わせている僕。
だが、ここ最近晴天が続いていたせいで、
天気予報を見ることを疎かにしていた。
そのせいで、折りたたみ傘を携帯し忘れてしまったのだ。


こんな日についていない、と思いながら僕は
近くで見つけた空き家に避難して、暫くそこで雨宿りをすることにした。

すると、突然僕と同じ考えの人間が 僕と同じように空き家へと
雨から逃れるように避難してきた。



「・・・一騎!!」


「えっ・・・、あっ!総士!!」


「ーーーお前も傘、持ってなかったのか・・?」


「あぁ、降るとは思わなくて・・・」


「そうかーーー。」



こうして二人で雨宿りすることになった訳だが。
今の僕には、全身を濡らした一騎の姿が余りにも毒だった。

服が濡れて 肌が透けている。
髪が濡れていて いつもより大人っぽい雰囲気を演出している。
そして何より、体が冷え始めているのか 微かにキミは震えていて。
そんな弱弱しく肌を擦っている姿を目の前で見せられると
気が狂いそうなほど情欲をかき立てられる。
しかも、雨が入ってこないようにと密室にしてしまった。
窓や扉は全部閉めた。これで邪魔も入らない。

僕はずっと ずっとほんの幼い頃から、君が好きだった。
その僕からして、今の状況は地獄と天国の境目といったところだろう。

一歩踏み出す勇気があれば、天国なのだが 勇気が出ない場合は地獄だ。
まだ君に想いを伝えていない僕。
これはチャンスかもしれない。
雨が止んでしまったら、君は家へと帰ってしまう。
何もなかったかのように、きっと。

もしかしたら、この空き家も、密室の現状も全て
神様が用意してくれた 僕への贈り物かもしれない。
君の事をずっと想い続けるだけの哀れな僕に、
神様が手を差し伸べてくれたのかもしれない。

神様は信じないタイプの僕だけれど、
こんな偶然がいきなり訪れると もしかしたら、なんて
都合よく考えてしまう。僕もほとほと、呆れた奴だ。




そんなことを堂々巡りに頭の中で考えていると、
一騎が不意に””くしゅんっ””と、可愛らしいクシャミをした。



「一騎・・?!大丈夫か?」


「あぁ・・・・う、うん 平気。」


やはり寒いようだ。まだ、身体を擦って 微かに震えている。
今は五月。時期的に初夏に近づいている。
しかし、気温はまだ それほど高くは無い。
身体が冷えて寒いと思うのは当たり前である。

僕は比較的早くこの空き家を見つけたから、さほど濡れてはいないけれど
一騎は全身が濡れてしまっている。

僕は一騎が風邪をひかないか、段々と心配になってきた。
思わず口から、自然とその台詞を吐いてしまう。
今の僕には、自爆とも言える台詞をーーー。



「一騎、服を脱げ。風邪をひくぞ。」



口にした途端、気付いて 激しい後悔が押し寄せてくる。
一騎は 何も気にした素振りを見せずに、素直に頷くと
脱ぎ始めた。


僕という人間は、何処まで愚かで浅ましいのだろう。
顔を赤らめながらも、横でいそいそと脱ぎ始める一騎の姿から
目を離せないでいる。
こんな自分がたまに嫌になるのは 云うまでもないだろう。


一騎は気にせず僕の前で大胆に脱ぎ始めたはいいが、
上着までは順調だったものの シャツを脱ぐときに手間取っていた。
どうやらシャツが濡れていて、脱ぎづらい様子だ。
僕は横で苦戦している一騎を見ながら、嫌な予感が一瞬した。
すると刹那、一騎に名前を呼ばれる。


「総士!」


ーーービクッ!身体が瞬時に強張った。


「な、・・なんだ?」


「あのさー・・、頼みがあるんだけど・・」




一騎、まさか・・・お前・・・
嫌な予感が真実味を擡げて来る。


「な、何か用か・・・?」





「脱がすの手伝ってくれないか?」



「!!!!!」




やっぱり・・・・。





僕は正直悲しかった。
こんな風に君を意識しているのは 僕だけだ。
君は僕を意識していないのだから・・。
まぁ、当たり前といえば それまでなのだが。


「・・・・わかった。」


一騎の頼みを無碍にする事も出来ない僕は、
渋々承諾すると 一騎の真正面に近づいた。


目の前で見る君の肌は白く、儚い色をしている。
やはり寒いのだろう。まだ君は、小刻みに震えていた。
華奢な身体のラインがシャツ越しにくっきりと表れている。
僕の頭はもう、記憶が飛ぶほど、くらくらしていた。
しっかりしなくては。

僕はきりっと瞳を細めて、一騎の瞳を見つめると
意を決して言った。


「ではお前はシャツを捲くって、頭まで上げろ。
その後は僕が引っ張ってやるから。」


「うん、わかった!」


一騎は返事をハキハキと答えると、
すぐさま躊躇いもなしに服を捲り上げる。


”ーーーー・・うわぁぁっ〜〜・・。”


僕の心の叫びが思わず口から漏れそうで、
僕は口を押さえたい気分だった。


やはり濡れているせいで、どうも上手く上まで上がらないようだ。
一騎が少し焦っている。

しょうがない、最初から手伝ってやるか。
僕はこのとき、考えなしにそんなことを無造作に思ってしまった。
安易な考えが引き起こした僕のミスだ。

これは第二の自爆だった。
というより もう、跡形も無いほどの威力を放つ
惨状になった。取り返しのつかないこととは、このことだ。




「一騎、ほら・・・僕が手伝ってーーー」


そう言い掛けて、僕は一騎のシャツに手を伸ばした。
すると不意に、僕の手の甲が其処に触れてしまった。
透き通った服越しに見える、薄桃色の突起へとーーー。



「っ・・ぁあっ・・!」


瞬間、一騎の艶かしい声が上がる。



「!!!??」



僕は、硬直した。



その可愛すぎる声と、一瞬感じたような表情を見せた一騎の表情に。



「あっ・・・・・」



一騎は急激に顔を赤く染め上げ、自分のあげた声色に
動揺し始めていた。

恥ずかしそうに、一騎は目を僕から逸らすと俯く。
捲し上げていたシャツをあげるのを止めると、手を腹部の前で組み、
恥ずかしさに耐えるような素振りを見せ始めていた。


なんて事だ。
可愛すぎる。
もう僕は、限界を通り越して、脳内は楽園だ。
一騎祭り開催中だ。
遠くにお花畑が見えるくらいだぞ。


僕は我慢というモノの限界を、このとき知った。
身体は自然と動いていた。
今までの我慢が水の泡だとか、この後どうなるだろうとか
不思議とそんなことは微塵も考えなかった。
というより、感情の思うが侭、行動していたに近いだろう。


「一騎・・・」


僕は情欲に濡れた声色で一騎の名前を
そっと囁いた。

一騎はいつもと違う僕の様子に気づいたのか、
赤らめた顔を上げて、目の前に迫る僕を見上げた。


僕の左手の人差し指と中指が、布越しに
先程触れた薄桃色の果実に再び触れる。
今度は一瞬なんかではなく、しっかりと。


「っ・・・あっ・・・、そ、・・・しっ・・」


妖艶な瞳で君に迫る僕の期待通り、
君は先程よりも、より可愛い声を出して僕に応えた。


「・・・・・一騎、可愛い。」


僕が耳元でそう呟くと、君はゾクッと身体を震わせて
顔をより一層赤らめた。


「な、んで・・・こんなことっ・・・・」


一騎が栗色の大きな瞳で切なげに 僕へと言葉を紡いだ。
僕は正直、僕の想いをこの場で口にする事を このときだけは迷った。
ここで言ったら、何だかドサクサ紛れの言葉に聞こえる気がしたからだ。
でも、ここで言わないと 一生言えない気もした。だから僕は、一騎の
甘い果実を指で弄びながらも 口にすることを決心した。



「一騎がずっと、好きだった・・」


できるだけ真剣な声音で、真摯な瞳で
君に僕は訴えかけた。


「・・・・・えっ?」


君は瞳を丸くして驚いていた。

僕は力が抜けていく君の身体を、ゆっくりと押し倒して行った。
まるでスローモーションのように 反転していく世界を、
このとき君は瞳に焼き付けただろう。




床に散りばめられた、柔らかな濡れた黒髪。
君の瞳は何処までも澄んでいた。
君の身体に覆いかぶさり、僕は君の視線を正面から
受け止めた。


「一騎・・・・」


君の名を、静寂の中 慈しみながら呼んだ。


「総士・・・・・」



君の栗色の瞳が、気がつくと 見る見るうちに
涙で濡れていく。







「何で泣くんだ・・・?」


僕はそう言いながら、一騎の唇を指先でなぞる。
すると、一騎は困ったように笑いながら 僕に言った。



「・・・・・嬉しい、から。」


一騎の言葉に今度は僕が目を丸くする番だった。




「俺も・・・・ずっと総士が好きだった・・・・」





それ以上、一騎の言葉は続かなかった。




僕が唇で、塞いでしまったからーーーーー。





+++













「ッ・・ぁ・・・ふぁ、ン・・・」



一騎の濡れたシャツは、見事に僕の手によって
手際よく脱がされた。
そして、脱がなくてもよかった、下半身までも。


「一騎・・・・気持ちいいだろ?」


薄桃色の突起を好きなだけ弄繰り回す。
甘噛みしたり、吸い付いたり引っ掻いたり、摘んだり。
一騎にとっては散々だろう。


「い・・、や、・・ぁっ・・・だめぇっ・・・」


喘ぐ一騎の声色は、僕にとってはまるで天使の歌声だ。
僕の情欲をその声が、間違いなく掻き立て、乱していた。


「一騎・・こっちの調子はどうだ・・?」


そう言って僕は、今度は下半身に手を伸ばす。
既に全裸の一騎。その中心部からは甘い蜜が漏れ始めていた。


「なんだ・・一騎、調子良さそうじゃないか・・・・?」


僕はクスッと、喉奥で意味深に笑って見せる。
すると一騎が少し非難めいた瞳で僕を見上げて

「ばかっ!!」と短く言った。



そんな一騎も今の僕には愛しくて堪らない。
本当にもう、僕はどうしようもない。

こんなんじゃ、一騎に僕の威厳を見せられないじゃないか。
こんな、・・一騎にメロメロでは。



「よし、僕がこの蜜を全部舐め取ってやるから、安心しろ。」


「えっ・・・!!?」


ギョッ、とする一騎を尻目に 僕は満面の笑みで、
一騎のソレを口に含んで舐め回し始めた。


「ゃぁぁあああっ!!!ふぁ・・、ぁあッ・・ん・・−−」



快楽の波が一騎を襲い始めたようだ。
一騎は甲高い声をあげて、僕を煽り立てる。
艶やかな上気した、顔色。
しなやかな身体。淡く揺れる大きな栗色の双眸。
艶麗な君の姿にうっとりしながら、僕は 君を絶頂まで追い込む。


「っぁ・・は・・ぁ、・・んっ・・や・・ダメッ・・・そう、しぃっ・・・」


一騎は身体を小刻みに震わせ、必至に快楽と戦っていた。
そして絶頂に耐えられないと、訴えかけてくる。


「一騎・・一回イくといい・・」


僕は口に含んだ中心を一回取り出し、そういうと
また含んで、今度は先端を歯で甘噛みした。


「ひゃぁぁぁあっ!!!!」


すると面白いほど一騎は、身体を仰け反らせ、四肢を震わせた。
その瞬間ーーーー。

僕の口の中は、一騎の白濁とした甘い液でいっぱいになった。






---------------ゴクリ。




僕は、喉を鳴らしてソレを飲み込む。
君は泣きそうに顔を歪めて、真っ赤な林檎の頬をしながら
僕を見つめた。


「どうした、一騎?」


「・・・・・恥ずかしいよ」



”汚いよ、そんなの呑んじゃ・・”君はそう付け足した。

”汚くなんてないさ、一騎のだから”僕はそう答えた。


一騎は僕の首に腕を絡めると、胸に埋まって

「やっぱり総士はバカだ・・・」


と言って来た。




可愛い一騎。僕の心をいつまでも放さない。
僕は一刻も早く、一騎と繋がりたいという衝動に駆られた。


「一騎・・・そろそろいい?」


僕は聞いて、一騎の秘部へと指を宛がった。



「ぁあ、ンっ・・・!!」


軽い快感が一騎の中に走ったようだ。
甲高い声が部屋中に響く。


僕は”そうだ”と思い出したように、一騎へと言葉を告げた。


「一騎、そんな可愛い声を他の奴に聞かせるなよ?」


「なっ・・・!なにいって・・・」


一騎はいきなりそんな事を言う僕を、不審に思ったようだ。


「お前、あんな風に簡単に人前で脱ぐなよ?襲われるぞ。」


僕はいたって真面目に注意を促した。しかし、一騎に一喝される。


「するわけないだろっ!!」


「だがお前・・、躊躇い無く脱いでたじゃないか。いくら服が濡れてるからって
簡単に脱ぐな。変なところを他の奴に触られたらどうするんだ!」


お前が言うなよ、と突っ込みを入れたそうな恨めしい一騎の
視線をいち早く察知した総士。
”先に言っとくが、僕のは不可抗力だ”と後で付け足した。
一騎はため息混じりに、総士へと言葉を繋げた。

「・・・総士なら、いいかなって 思ったんだよ。見せても・・」


「へっ・・・?」


拍子抜けした声が、一騎の耳に届く。
何を言われているのか分からない、とでも言うようだ。



「っ・・・〜〜だから、総士になら裸見られてもいいって
                        思ったんだよーー!」



やけくそのように、頬を上気させて叫ぶ一騎。
その言葉に総士は、感動を覚えていた。


「一騎!!!」


喜びの余り、一騎を軋むほど強く抱きしめた。


「ちょっ・・・くるしぃっ・・・」


「そうかそうか!!分かったぞ一騎!!お前の身体は僕が
余すところ無く味わってやるからな!!!」


「なっ・・・・、意味がちがっ・・・・」


曲解した思考の総士に反論しようとも、苦しくて出来ない一騎は
もがき始めた。


「おっと!すまない。強く抱きしめすぎたか?
まぁ、これも愛の深さだと思ってくれればいいだろう。」


よくねーよ。
そう突っ込みを入れたかった一騎だが、目の前の総士が余りにも
生き生きしているため、どっと疲れが押し寄せて 戦意喪失してしまったのだ。




「さぁ一騎!僕らの愛をもっと深めようじゃないか!!」

そう叫んだかと思えば、早速愛撫を始める総士に、
一騎は半ば圧倒されていた。


「っ・・やっ・・・、ひゃぁ・・・んッ」


指を一気に二本入れられた。
一騎は襲い来る激痛と異物感に襲われる。


「痛いっ・・・!いた、いよぉっ・・そぉ、しぃ・・・っ」


涙声で一騎は総士に縋り付いた。
総士は”よしよし”と子供をあやす様に、美しい黒髪を撫で回す。


「大丈夫だ。馴れれば、気持ちいはずだからーー」


そういいながら、総士は容赦なく指の抜き挿しと、
一騎の内部を指でかき回し続けた。



「ひゃぁあっ、・・ふぁ、ン・・いやぁぁッ・・・」


カタカタと震えながら、総士の指の動きに合わせて
一騎の腰がゆるりと動き出した。


「はぁ・・んっ、ぁ、ぁあっ・・・」


一騎のイイトコロを探し続ける総士は、ある一点で指を止めた。


「やぁぁぁ、ああっ・・・ソコっ・・・・、だめぇぇッ・・!!」



一騎の反応が大きくなった。
ここだ。総士はそう考えると、途端に指を引き抜いた。


「ひゃぁぁんっ!!」

いきなり異物が抜けた一騎の秘部は 驚きで収縮してしまった。
挿し抜かれた痛みが一騎の局部に走る。
身体が自然と強張り、額に多少、汗が滲んだ。


「一騎・・・すまない、大丈夫か?」


総士は優しく耳元で呟きながら、一騎のしっとりとした髪を撫でると、
口づけを落とした。


「んっ・・・・ふぅ、・・・・っぁ」


深い、深い、総士の口付けが 一騎を更に、快感へと堕としていく。
一騎の舌を総士は上手く絡め取ると、即座に吸い上げ、歯列をなぞる。


「ふぁ、あっ・・・ンッ・・」


くぐもった甘い声を時折漏らしながら、一騎は総士のされるがまま
口づけを受け続けていた。


そうして、やっと唇が離されたときには、
軽い酸欠状態に陥っていた一騎だった。


「そ・・・しっ・・・」


はぁはぁと、肩で息をしながら一騎は総士に必至でしがみ付いていた。
瞳も虚ろで、何とも扇情的な一騎の表情は妖艶に総士の瞳に映し出されていた。


「一騎・・・」


瞬間、呟いて、
熱い想いと共に、総士は自分の中心を一騎の馴らしたばかりの秘部へと
挿し入れ始める。




「ぁぁぁぁあああああっ!!」


一騎の快感とも悲鳴とも聴こえる声が、室内に木霊した。
総士はじっくり入れると余計辛いだろうと思い、
一騎の中に自分自身を勢いよく根元まで一気に挿しいれた。



「あぁ、ぁぁ・・んっ!!」


甲高い声色が総士の耳に届いた。


「っく・・・・!」


一騎の内部の締め付けと狭さに、総士がくぐもった声を
思わず吐く。


「そ、うしぃ・・ッーー」


一騎の苦しそうな声が聴こえた。


「一騎っ・・・力を抜け。動くぞ・・。」


そうひとこと 言うや否や、総士の律動が開始された。





ーーーーーーギッシ・・ギッシ・・


規則正しい床の軋む音が部屋中に響き渡る。



「アッ・・・・あッ・・・ン・・・はぁっ・・」



淫らな甘い声が総士の耳を掠める。
一騎は、総士の欲望が自分の内部で蠢いていることに
満たされ始めていた。


「そぉ・・・しッ・・・もっ、と・・・」


催促し始めて、いよいよ快感に呑み込まれ始める一騎。
何とも淫乱で艶容だと総士は思う。

銀白色の双眸が、栗色の双眸を捕らえて離さない。
どこまでも銀白は栗色に溺れていたのだった。


「あ・・・、ンッ・・・そぅしっ・・・!」


息が段々とお互い荒くなってきた。
一騎の腰が上下に激しく律動にあわせて動く。
総士は一騎の中心に再び愛撫を送り始めた。



「ハ・・・っあぁ、・・は・・・やぁッ、・・・そぉ、しっ・・」


ギシギシと軋む床の上、
ドクドクと湧き上がる欲望に
ゾクゾクと背筋を這い回る快感が総士と一騎を追い詰めていった。


「・・・最高だ・・・一騎っ・・・!一騎の中は熱くてとろけそうだよ・・・」


微笑を浮かべながら、総士は律動を速くしていく。
加速していく痛みと快感の挟間で、一騎はとろける様な甘いキスを
総士にねだった。


「キス・・・し、て・・・そうっ、しッ・・・・」



「いいよ・・・」



一騎の可愛いお願いに、総士は快く返事をすると
最初は軽く、そして徐々に、濃厚にキスを深めていった。



「んっ・・・ふぁ、っ・・・」


鼻から抜けるような可愛い一騎の声に反応して、
総士の欲望はさらに荒々しく一騎の内部を動き始める。



「ぁっ・・・んん、・・ふぁ・・、っ・・・」



激しいキスと激しい愛撫。そして秘部への荒々しい律動。
一騎の受ける刺激は頂点に達し、限界が近づいていた。

長いディープキスを終え、
自然に一騎の表情でそれを察知した総士は
静かに速さを緩めて、解放を促した。


「一騎・・・・そろそろイこうっ・・・」


総士自身もそろそろ限界が近づいていた。
その額にはじんわりと、汗が浮かび上がっている。


「う、んっ・・・・」


濃厚なキスからその唇を解放して、まだ間もないせいで
まだ湿っぽく濡れている赤い唇は 艶やかな色に輝いていた。
総士は再びその唇に軽いキスを落とす。


「いくぞ・・・−−−」


そういった途端、急激に根元まで総士の中心が挿し抜かれた。


「そう、し・・・・」


色か漂う、情欲に濡れた栗色の双眸はただただ、目の前の
銀白の双眸に吸い込まれるようにされるがまま、卑猥な格好で
刺激を待たせられる。


「一騎!!!」


そう呼ばれた瞬間、一騎のイイトコロを加速もついた総士の欲望が
勢いよく貫いた。
腰が大きく揺れ動き、背中が仰け反る。


「ああぁっ・・・!!総士ーーーーーーーーっ!!!」



刹那、一騎の中心から白濁とした甘い蜜が総士の腹部に吐き出された。
その反動で、一騎の内部が収縮し、締め上げられた総士自身も
凄まじい締め付けに耐え切れず、一騎の中に総士の欲望が
打ちまかれる結果となった。





お互いの果てを見た二人は、脱力しながらも
終始、満足感に浸りながら 眠りにつくのだった。



二人が眠り始めたときにはもう、



雨は止んでいた。





+++







「雨、いつの間にか止んだみたいだな。」


一騎が明るい声を出してそういうと、
一騎の横に並んで総士は相槌を打った。



「あぁ・・・そうだな。」


「そろそろ、帰ろうか?」


「そうだな。」



二人は顔を見合わせながら微笑み合うと、
どちらともなく指を絡めあった。




「なぁ、総士。」



「ん・・・?」



「まだ夕方にしてはさ、妙に明るくないか・・?」


「う〜ん・・、そうだなぁ・・。確かに、いくら雨上がりだからといって
少し明るすぎ・・か。」



二人は指を絡めながら、空き家の戸を開けると
外に出て不審に思った。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ま、さか!!!」




総士が急に大声をあげた。カバンにしまっていた懐中時計を取り出しているようだ。
一騎は”ど、どうしたんだ?!”と思わず声をあげた。





「・・・・・・総士?」


様子を見ると、総士が固まっている。
一騎は不安げな顔をして総士の言葉を待った。


「・・・・・一騎。僕らは随分と眠りに堕ちていたようだ。」


「えっ・・?」


額に手をあてて、失敗したような仕草をとる総士。
苦々しい表情で、懐中時計を一騎に手渡す。


するとそこに表されていた時間は・・・



「五時二十分・・・・」



一騎が呆気に取られて呟いた。
自分達が帰宅したのは大体五時半。

実に時計を一回りしてしまった時間帯、時間でおよそ約十二時間もの間、
ここで過ごしてしまったのだった。



「ええっ・・!?ひ、一晩明けてるのか?!」


一騎が驚きの余り、身体を少しよろめかせた。
総士もさすがに苦笑いである。



「とにかく帰ろう。・・・きっと司令も心配しているだろう。」


「う、うん・・・・でもっ・・・」


そう言い掛けて、総士の指先を再び絡め取った一騎は
頬を桃色に染め上げながら、甘く呟いた。







「もう少しだけ、・・・・・・このままで」








その指先は、微かに震えていた。








「・・・・・あぁ、そうだな。もう少しだけ、な?」














可愛らしい仕草で、見つめてくる栗色の双眸に
総士は自然と微笑を返しながら、きつく指を絡ませた。










決して、ほどけない様にと。















きっと、これからの毎日の中で どんな朝を迎えようと
この朝だけは忘れられないだろう。










この、雨上がりの朝は。






そして、





微かに震えた指先を
絡ませて想うことは、ひとつだけ。























君が好きだよ。






















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こんにちは、青井聖梨です!!

一騎誕生日記念小説です。いかがでしたでしょうか??
ギャグと甘さを織り交ぜてお届けしてみました。まぁ、ギャグというほど書いていませんが(笑)
シリアスではなく、いちおう甘くを目標にしたのですが、やはり甘めの話って難しいです。
甘めの話を書いていらっしゃる方を本当に深く尊敬している次第です、ハイ・・(汗)

とにかく、お誕生日おめでとう一騎!!
それではこの辺で失礼致します☆★
青井聖梨2005.9.21.