どうすれば、君は振り返る?













信号










僕の好きなもの。
直向な瞳、実直、温厚、真実。
相互理解、真剣、感覚、真摯、そして・・・




革命者。








すなわち、









「スザク」











・・・彼だ。















「どうしたんだ、ルルーシュ?」


初めて出逢ったときから思っていた。
彼には大きな秘め事があるって。
他者を寄せ付けないその独特の雰囲気、仕草、思考。
はっきりいえば、普通ではなかった。

どこからか漂う気品は、彼の聡明さと密かな華麗さを
どことなく引き立たせていた。
彼といると不思議な感覚に陥る。

あたかも自分が彼の従者であると思う錯覚に
遭遇するのだ。・・一体なんなのだろう、この付き従ってしまう感覚は。


傍にいたいと願い、守りたいと乞う。
誓いを立てて、彼の全てを知りたいと想う。

いつからか、ルルーシュから目が離せなくなっている
自分に気づいた。

他者とあまり深く関わらず、ミステリアスな部分を残したまま
密かな願望を深層で育んでいる。
今の僕には、ルルーシュがそう見える。

そんな彼だからこそ、こんなにも惹かれてやまないのだろうか?


初めてだ。
こんな気持ちになるのは。

彼の考えていることが知りたい。
僕は彼の瞳にどう映っているのか・・知りたい。

願いは尽きない。
想いは止まらない。




「悪いが日曜、ナナリーは行けないらしい。
他に用事が入っているようなんだ」



「あ・・・、そうか。残念だなーー・・」



「行くのは俺だけになるが、・・構わないか?」




「え?・・あッ!うん、ーーーーもちろん・・」


「よかった」





どうしたんだ僕は?
なんでこんなに動揺しているんだ??

ルルーシュと二人きりで遊ぶ事になっただけなのに
どうして・・こんな・・・・。


原因不明の胸の高鳴りに戸惑いながら、僕はルルーシュに
そっと微笑みかけた。半ば、自分の心中を誤魔化すために。


「ルルーシュが来てくれるなら、嬉しいよ」



出来るだけ自然に振舞おうとした。
けど笑顔が少し引きつった気もする。

こういうとき、どうも平然とした態度を装うことが出来ない自分の
不器用さと単純さに少々ヤキモキしてしまう。


そんな僕を正面から見つめながら、
ルルーシュの淡く深い透明な紫紺の瞳が一瞬揺らいで
その奥に 優しい微笑を宿した。


「そう言ってもらえて・・俺も嬉しいよ」


小さく微笑み返してくれたルルーシュの
艶やかな黒髪が 何処からとも無く吹いてきた風に柔らかく掬われていた。
その姿を目の前に、不思議と自分の顔が赤く染まるのに気づく。


どうしよう・・・・胸が、苦しい。



さっきまでこんな事 予想も出来なかった。
僕の身体はどうにかなってしまったのだろうか。

まともにその姿を見ることが出来なくなり、
突然俯いてしまった僕を 不思議そうな顔をしながら
ルルーシュが呼びかけてきた。


「どうしたスザク・・?」



この間までは・・先ほどまでは平気だったことが
いつの間にか平気ではなくなっている。



「どこか・・痛いのか?」



そっと僕の肩に触れてくるルルーシュ。
その目で、その眼差しで 覗きこんでくる。
その唇で温かく僕の名を呼んでくれる。





「いや・・・・心配しないでくれ。
ーー大丈夫だから・・・・・・」



触れられた部分が熱い。



この前までは、この腕で抱きしめた事だって
あるというのに。



「・・そう、か?じゃあ、俺は行くよ。
日曜、楽しみにしているから・・・」



「あぁ、僕もだ」



離れていく熱を心の片隅で惜しみながら
僕は小さくなっていくルルーシュの背中を いつまでも眺めていた。







「ルルーシュ・・」




小さな声が 虚空に溶けては消えた。






君を知りたい。
どうすれば今よりもっと君に近づくことが出来るだろう。









・・・どうすれば僕は、本当の君にたどり着ける?







どうすれば、











君は振り返る?



















そう思った瞬間。
ーーーーーーーーーーー気づけば、走り出していた。



声を、






「−−−ルルーシュ!!!」





宙に響かせていた。










僕の声に気づいて、君は一瞬立ち止まる。



そして・・・








「スザク・・?」






ゆっくりと こちらに振り返った。











予感がする。
僕の中で大きな変化がやって来る。


それは自らが強いて行う使命でも、計画でもない。





人は自然の流れに逆らうことなど出来ない。
運命とも、必然とも取れる その正体は 絶対的な力を持って


今の僕を大きく変えることになるだろう。
そんな気がする。


自分が望んだことではない。
これは自然の流れであり、他者から与えられた宝物。




そう、彼だ。




ルルーシュ・ランペルージ。









彼は僕の



































「君の事が知りたい・・」





































唯一の革命者だ。

























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こんにちは〜、青井聖梨です。
スザク視点のSSを書かせて頂きました。まだキャラが定まっていない分、書きたい放題ですね(笑)
なんていうか、スザクって結構無意識に罪作りな青年という印象を受けるので
自覚するのは最後の最後って気がします。悪く言えば鈍感。よくいえばマイペース。
ルルーシュは逆に気づくの早そう。洞察力が良い分、悪い事でも良い事でも機敏に反応しそうですね。
頭の回転が速いせいでしょうか・・?そんな感じがします。
てな訳で、あえて好きを自覚する一歩手前でストップ。曖昧且つ前向きな言葉で
ルルーシュと向き合おうとしているスザクにさせていただきました。

それではこの辺で〜。こんなスザルルでよければ、また読んでやって下さいませ。

青井聖梨 2006・10・23