もう一度、向かい合うその瞬間を 待っているーーー。















交わる瞳の儚さよ














「キラは敵じゃない!!!」




「いいかげんにして下さいよ!!
どっかおかしいんじゃないですか?!アンタ!!!」





荒々しく吐き捨てられた台詞に、煮えくり返るほどの怒りを覚えた。
最近のオレは、こんな些細な口喧嘩さえ 憎悪の火種にしてしまう。
いよいよオレも余裕がなくなってきた、といえばいいのか。


言いたいことが・・伝えたい事が、相手に上手く伝わらない。
こんなにもどかしいことは他に無い。

いくらシンを説得しようと試みても、シンは聴く耳を持たない。
声を荒げて強引に解からせようとしても、相手の気を逆なでするだけ。
結局分かり合えないまま、時の流れに身を委ねるしか今のオレには
できなかった。−−−−無力な自分を呪いたい。ときどき、そんな事を思う。


キラとは・・あの赤い海の中で話したきりだった。
もう、随分経つ。・・・その声も姿も、今のオレにはおぼろげで上手く
思い出せないほど、懐かしいことのようだった。


変な話だ。幼い頃に引っ越したときよりかは
離れている時間が短いはずなのに・・。

オレの中のキラが、色を失いかけている。
それは・・・・あのとき、分かり合えなかったからなのだろうか?



あのとき。交わったキラの瞳が、哀しげに揺れていた。
オレを求めるような、・・つき離す様な色をして 静かに瞬いていた。


その姿が、瞬間が、あまりにも儚くて。


紡ぐ言葉も忘れてしまうほど、あのとき オレは








ーーーーーーーー淋しかった。









キラ。
オレ達は、一体何処へ向かっているんだろうな?




オレは迷ってばかりで、お前は戦ってばかりで・・
こんなんじゃ、なにも掴めないーーーーーー。


解かっているのに オレは。
何も、できない・・・・。



だから、キラ。オレはいつまでも、待っているよ。
もう一度、お前と向かい合う瞬間を待っているよ。


あの時のように 瞳が、交わる瞬間を待っている。






『アスラン』










あぁ、・・お前の瞳の儚さよ。















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