あの頃、君が僕の世界の色だったーーーー。

















                                         陽炎








「綺麗だな・・・この景色」





ふと、僕の隣に佇む君が そう虚空に言葉を漏らした。
僕は”あぁ、そうだね”と短く返事をして、 
暮れ行く夏の夕暮れを 山の頂から君と見つめていた。

どこからか優しい風が吹き付けて、僕らの髪を空へと
掬い上げていく。

君の黒く艶めいた綺麗な髪が、空の赤に溶けていって
一際夕日のように煌いた。

僕はその光景が あまりにも眩しくて、瞳を自然と細めてしまう。
けれどしっかりと 瞳にその姿を焼き付けておきたくて
無理やりにでも瞳を大きく見開いた。


その瞬間ーーーーーーー・・・





陽炎のように地面から立ち上る気に
君は包まれて、次の瞬間には・・・


君はーーーもう、いなくなっていて。










「ルルーシュッ!!!!」







思い切り、手を伸ばしてみるけど

手は空を掴むばかりで。






その刹那、いつも目覚めるんだ。



これは夢だって。

遥か彼方に忘れ去られていた、僕の記憶。




追憶が僕に報復をする。


・・何故忘れていたのだと、何故思い出そうとしなかったのかと
僕を戒めて 君との思い出を今更ながら 焼き付ける。









「・・・・どうして」



こんなにも苦しい。





一緒に居たいと願いながら、離れていった彼を
いつまで自分は想い続けたら気がすむのだろう。





「ルルーシュ・・・」





あの頃、世界の色は君だった。




君が僕の世界の色だったんだ。




誰よりも綺麗に光り輝く君。
時々見せる寂しい色は どうしようもなく僕の胸を締め付けた。
僕に出来ることなら、なんでもしてあげたかった。


君の中に少しでも入れるのなら、
どんな理不尽なことでも耐えられると思った。


眩いばかりに鮮やかな、君は
僕の世界を彩った。


それほどまでに君はーーーーー








「・・・・今、どこにいるんだ・・・?」






君は美しかった。








僕の右目には、遠い日の面影を求めた君の色が映る。



僕の左目には、近い日に映し出そうと探す、君の色が迷う。



僕の世界は、君の色で満たされていた。
失って、初めて気付くーーー僕の世界のすべて。




過去も、未来も、現在も   




追い求めているのは









追い求めている・・・色は。









「ルルーシュ・・・・逢いたい」









あの日の陽炎は、そう・・











君が僕に残した色。










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