キラ・ヤマトに会いたかった。











運命は貴方の中で光り輝く
















サヨナラの合図を、あの人へと俺は捧げた。




鈍い銃声音が室内に響き渡る。





あの人の胸から、紅い血が溢れ出した。
撃った瞬間、




涙が溢れる。





ギルを裏切る奴は許さない。


あの翡翠の双眸にそう吐き捨てるように言った
俺なのに。



何故、俺は今 憎き相手ではなく、ギルを撃った?



何故、最後の最後で 俺はギルを裏切ったんだ?





憎い相手だった・・あんなに憎くて仕方なかった
相手ではなく、大切にしてもらった ギルをーーー。






『ねぇ、ラウは・・・?』





『ラウはもう、居ないんだ・・・。
だが、君もラウだーーーーーーー』





見えない明日に怯えていた。
自分には明日があってはいけない。



『それが君の運命なんだよ』






明日が許されない、生き物だった。



失敗作だから。人とは明らかに異端であるから。
クローン、だから。

俺は明日へ、自分の死に場所を求めていた。







+++



キラ・ヤマト。



彼の名前を聞いたとき、
胸に一滴の光る雫が、波紋のように広がった。


俺はその気持ちが何なのか、分からないまま
知らないふりをして まるで無かった事のようにして・・


ただ、密やかに 彼を憎んだ。



激情の赴くままに、燃えるような熱さを胸に抱きながら。




憎かった。ただ憎くて・・・彼の事しか考えられないくらい、ずっと。


そんなとき、ギルはアスラン・ザラを使って キラ・ヤマトをおとしめようと
画策していた。


アスラン・ザラ。
彼はキラ・ヤマトの親友で、よくキラ・ヤマトの事を知っている。



俺はアスランに理不尽な腹を立てていた。
最初はギルの言う事を聞いていたはずなのに
最後の方では不満ばかり。

二言目には、”あいつは敵じゃない”。

一体何なんだ。

敵だろ?敵じゃないか。
ザフト軍人なのだから。アスラン、あなたも。

しかし、ザフトである以前に、俺はキラ・ヤマトが憎い。


ムウの命を奪った憎き存在。
最高のコーディネーターの完成作品。
ギルの邪魔をする、敵。


憎い・・憎い・・・短い命の俺だが、
彼と一緒に死ぬ事が正しい道だと やっと気づく。


俺とキラ・ヤマトはこの世に害を成す存在。
明日にでも死ななければならない存在。
無かった事にすればいい。
この世に生を受けるべき存在ではない。
居なくなればいいんだ、彼も、俺も。


俺と彼には、生きる場所など必要ない。
死ぬ場所さえあるのならーーー。




アスランを見ていると、少し痛い。



アスランはその瞳、その心、身体全てを使って
キラ・ヤマトが大切だと俺に訴えてくる。


彼の傍に居ると、息苦しい。
まるでその愛情が 俺にも移ってしまいそうで、少し怖い。
アスランが、”キラ”と口にするだけで、無性に腹立たしくて。

ただ、名前を口にしただけなのに
その声色には、彼とアスランの間に特別な何かが
明らかに存在する気がして・・腹立たしかった。

隠れている何かに、気づきたくなんてないのに。



嫉妬心が疼いてくる。
駄目だ。
彼の雰囲気に呑み込まれては。

キラ・ヤマトは憎い敵だ。それ以上でも、それ以下でもない。
明日にも、その命を葬らなければならない。

俺と奴には明日なんていらないんだ。



シンといると楽だった。
アスランとは対照的に、シンはキラ・ヤマトーーフリーダムを憎んでいた。
その想いが伝わってくる。
そうだ、これだ。
この感情が、正しいんだ。


俺とシンはフリーダムの研究をした。
一刻も早く、この世に害な・・・俺自身に害なキラ・ヤマトを抹殺するために。



早く、早く・・・間に合わなくなる その前に・・。





そうして俺は、キラ・ヤマトをシンに討たせた。



『キラァァァァァァーーーーーーーーーーーッッ!!』



アスランが、近くで叫んでいる。
嘆いている。



これでいい。
これですべてが、・・・・上手くいく。


あとは自分の死に場所を探すだけだ。





でも、俺は重要な何かを見落としていた。

そしてそれが何なのか。
ギルを撃った その瞬間に、それに気づいた。




”俺が討てばよかったな・・”








俺はキラ・ヤマトを討たなかった。






憎い存在のはずなのにーーーー。









”俺が”討たなかったんだ・・・。







+++










「ギルッ・・・・・・」





声が擦れる。



何故裏切った、何故撃ったと
もう一人の自分が俺自身を苛める。






『でも違う!!命は何にだってひとつだ!
だからその命は、キミだ!!!じゃないっっーーー!!!』






                          『だが君もラウだ』





オレは・・・・オレ?







『でも僕たちはそれを知っている。
わかっていけることも、変わっていけることも
どんなに苦しくても、変わらない世界はーーーー嫌なんだ!!!











                          『それが君の運命なんだよ』






変わることが・・・でき、る?




そんな世界が・・・ある?









『僕はただの一人の人間だ!どこもみんなと変わらない!!』








にん、げん・・・?


ふつうの、人間・・・・




じゃあ、クローンもーーーーー?










「ごめん、・・・なさ・・・っ・・」









最高のコーディネーターが選んだ道は
生きるということ。






死ぬ事じゃない。






彼の明日は、・・・・輝いている。





たしかに、其処に存在する。


自分の力で、・・・切り開いていく。







明日を、信じて生きている。
オレは明日を・・・・殺していただけ。







初めて、オレをオレと言ってくれた人が
キラ・ヤマト。




クローンのオレを、普通だと認めてくれるのも
きっと、彼だ・・。



ギル・・・・・





キラ・ヤマトは



オレにとっての・・・・






最後の光なんだ。










明日への、希望なんだ・・・・・







だから






彼の明日を、摘み取ってしまう事は  決め付けてしまうことは







たとえギルでも・・・・・






オレはーーーーーーーーーー。









「でもっーー!・・彼の明日は・・・・・・・」















彼のモノだ・・。























他の誰のモノでもない・・・






















 今、ようやく わかった。























俺はずっと、






















キラ・ヤマトに会いたかった。






















初めて その名前を聞いたときから、









・・・・ずっと。


















まるで、恋をしているように










ただ、ひたむきに 想った、彼に会いたいと。








何度も。








無かった事になど、出来るはずもなかった。
始まっていたんだ、彼の名前を聴いたときから。




じゃなければ、こんなに彼の言葉が
俺の中で波紋を作るはずも無い。








初めてその姿を見た。





亜麻色の髪。
振り向いた、大きな紫玉の大きな瞳。
しなやかな、身体。
身にまとう雰囲気が、清浄で。






全身で、彼を感じた。
彼に、焦がれた。






最後の光を、俺は闇に埋もれながら
いつだって 求めていた。


彼なら・・・こんな俺でも救ってくれる気がして。



光を浴びた瞬間、変わる気がしたから。自分の中の運命が。






自分にも明日を願う事が許されると、

この生にも、意味はあると 言って欲しかった。




俺は運命に全てを委ねるのではなく、
俺の意志で生きたかった。



クローンではなく、”普通”になりたかった。









そして今、彼は言った。



自分は”普通”だと。
俺は俺だと。


変わらない世界は嫌だと、・・・俺がきっと、ずっと言えずにいた事を


あんなにも はっきりと口にした。



あんなにも欲しかった言葉を、キラ・ヤマトが言ってくれた。








最後の光が・・・・












俺を包んでくれた。






















やっと・・・・救われたんだ。



















ギル。






















彼に明日を、



返してあげてくれないか?

















運命は、きっと






















今も 彼の中で光り輝いているはずだから。
























そして、俺も


















今 此処に在る運命を
























彼と共に、愛すよ。


























ーーーーーーー会えてよかった・・・























キラ・ヤマト。






















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こんにちは、青井聖梨です!!
ハイ、というわけで レイキラ・・・です(爆)
アスキラ前提ですけどねVV

というか、突発なんで もう書かないかも?(笑)
ただ、最終回を見て 思ったのです・・こんな感じに。

レイは最後、自分の意志で運命に抗い、ギルを撃ったのでは
ないでしょうか?

レイはレイ。ラウではない。レイはずっと苦しんでいたのですね。
信頼するギルにそう言われてしまったら、”レイ”を消すしかないですものね・・。
でもレイはレイだとはっきりレイを認めてくれたのが皮肉にも、キラなわけで・・
複雑です。でもきっと、レイも心の何処かでわかっていたのではないでしょうか。
自分は自分だと・・。ただ目を背ける事しか出来なかった、それしか許されなかったのでしょうね。
悲しい!!(涙) レイの中でキラの言葉がもの凄い力というか影響力を持っていましたね。

レイが密かに思っていたことを口にした、もしくは誰かにずっと言って欲しかった言葉を言ってくれた
という感じでしょうか・・? 少しでもレイが救われたらいいな・・とか思って書いた小説です。

それでは、この辺で!! そのうちアスキラでも最終回記念なるモノを書こうかな☆★

2005.10.3.青井聖梨