手を伸ばせば触れ合うことが出来る
引き寄せれば抱きしめることが出来る

そんな距離に居る、そんな僕らなのに




地下の牢獄で壁越しに語り合った時間の方が
今よりもっと君に近づいていた気がするのは
気のせいなんかじゃない


僅かな地面の隙間から手を伸ばして
重ね合わせた温もりの方が優しかったのは
偽りなんかじゃない


本当はあの頃の方が、君に関しては 今よりもっと自由だった


手を伸ばしてはいけない
想い続けてはいけない
欲しがってはいけない

出来るはずのない我慢を 心の奥まで言い聞かせて
自制して、拘束して・・

それでも溢れ出す愛しさを少しずつだけどーーー殺してきた



けれど



一度歯車が狂えば、その先は闇だ




僕の想いの枷が外れれば、もうどうなるかはわからない






なぁ、一騎
お前に訊きたい事がある









お前は
本当の僕の姿を知っても尚、好きだと・・
僕を好きだと 囁いてくれるか?





罪を背負っている僕に
愛を・・・もう一度囁いてくれるか?





もしお前が



僕の罪ごと僕を愛してくれると云うのなら
僕はもう、・・・・何もいらない
















もう、お前しか欲しがらないと
神に誓おう

































Dear、ファントム〜第八章『慟哭の中で生きる闇』〜























君に恋をして八年が経つ。




出逢った頃は ただ純粋に惹かれて、恋焦がれた。

恥ずかしさもあったし、戸惑いもあった。
若気の至りとはこういうことだと今なら思う。


君はあの頃と何も変わらず 真っ直ぐに育った。
僕とは全然違う。
眩しくて、可愛くて、優しくて、温かくて。
僕が欲しいものを全部持っているのが君だった。

君は何も変わらない。



・・・たとえ記憶が欠落していたとしても。
偽りで塗り替えられた光景を差し出されていたとしても。



君はいつでも真っ直ぐだ。






でも、・・・僕は違う。
君とは天と地ほども違うんだ。



醜く汚れきって、そして・・疲れ果てている。
恋に落ちたあの頃よりも 君が好きで


あの頃より 



・・・ずっと苦しい。




自由に愛せない自分が悲しい。
素直に笑えない、自分が卑しい。

目を背けそうになる事実さえ受け止めるには
この手じゃ小さくて。抱えきれないでいる。




よく人は、手の届かないものを欲しがる。
太陽とか、月とか。そんな幻想的で現実的でないものに
たとえて、欲しがるけれど。

実際もし、太陽や月が手に入ったとき いらなくなることは
目に見えて解かっている。


たとえば本物の月を手に入れたとして、その月をどうするっていうんだ?
月に住むのか?水も食料もないのに?空気はどうする?娯楽は?
大体宇宙空間に人が住めるのか?孤独でいいのか?

事実手に入れたとしても 活用できないじゃないか。
持て余すだけ。つまりは、遠くで綺麗に光っている姿が好きなだけなんだ。
本当に 欲しいわけじゃない。





きっと、・・・一騎もそうなんだと思う。


僕を皆城総士としてみているだけだ。
名門の家柄に生まれた皆城総士。学校では黒の王子として
その名が通っている、男子生徒。
幼馴染で、親友で・・・昔からの顔なじみ。

そんな皆城総士を見て、彼は恋をしたんだ。
本当の僕の姿を見てじゃない。





あの、地下の牢獄で蹲って震えていた僕を見て
好きになってくれたわけじゃないんだ。

作りモノの僕を愛してくれたんだ。
・・勘違いしてはダメだ。




わかってる。頭ではちゃんとわかってるんだ。
一騎もただ、空に浮かぶ月が欲しいと口から零す
一人に過ぎないって事を。

実際それを手に入れたとき、困るのは一騎だ。
目に見えてる。・・大丈夫、わかってる。


僕さえしっかりしていれば、一騎は後悔なんてしない。
一騎を守るためにも 僕はもっと自分を殺していかないといけない。



でもふとした瞬間に、零れてしまう恋心は
自分ではどうしようもないことに・・少しずつ、僕は気づき始めている。


自然と零れ落ちるものを どうにかしようなんて無理な話だ。
八年間募った想いは 深くて、重くて、目には見えない時間が
膨大に心へと沢山降り積もっている。
消せるものでは、ない。


だから 小さなきっかけで、この前みたいに 堰を切ったように溢れ出す。
キスしたり、抱きしめたり・・・してしまう。




そのうち どうにかなってしまうんじゃないかと
本当は怖くて仕方ない。
その一方で、・・・それでもいいと思ってしまう自分がいる。







すべてを無に還して
願ってしまう、僕がいる。










君が欲しい





・・・一騎が欲しい、と。










たとえ偽善者の僕を好きだと君が云ったんだと
解かっていても・・・僕は嬉しかった。




あの人ではなく、僕を選んでくれたことが
嬉しかった。









・・・・・・・・・・・ただ、嬉しかったんだ。


















あぁ、・・・なにしているんだろう 僕は。
こんなのってないだろ。



莫迦みたいだ。


作りモノの自分を好きになってもらえて喜んでるなんて。
本当の自分を好きになってもらえなきゃ 意味ないのに。


僕も大概だな。








君が好きで・・好きで






やりきれない。










+++















第二の保険は、皆城家だった。






皆城の家は代々大金持ちだ。
富と名誉に溢れ、途絶えることのない名家と噂が
人びとの間で行き交うほど 島では有名であった。

その家に目をつけた僕は 自分を才ある少年であると認めさせ、
半ば強引に皆城夫婦に取入ったようなものだった。

そんな僕を それでも快く受け入れてくれた夫婦と乙姫には感謝している。
あの人が言っていた、言葉。






『知ってるか・・・?総士。
人って温かいんだぞ・・・・・』






嘘ではないと、今なら思える。
一騎以外に見つけた 心優しい人びと。



人間は皆死んでしまえばいいと考えていた自分が
どれだけ愚かだったのか 思い知る日々なのだ。




でも僕は、そんな優しい人々を自分の私欲のために
利用している。今現在も・・そしてこれからも。



一騎になにか困ったことが起きたとき、すぐに助けられるように
僕は富と名誉を持ち合わせているこの家を選んだ。それだけのこと。




僕にとっては所詮、そういう対象でしかない。
一騎に有益な存在であるかどうか。全ては一騎が基準なんだ。
だからそれ以外は切り捨ててきたし、必要はないと思っている。
情に絆される事は命取りだ。

罪悪感さえあっても、一騎のためなら拭い捨てられる。
エゴだと思われようが、冷血漢だと蔑まれようが構わない。

僕の生きる理由を傷つけるモノは何者であっても許さない。
それは自身にもいえること。


一騎を傷つける僕であってはならない。
守るために僕はいる。




君を守るためだけに 僕は生きているんだ。






そうだろ?
・・心の中のあの人に問いかける。







・・・・・・・・これでいいんだよな































「やっぱり総士の家って、広くて大きくて綺麗で・・
沢山お手伝いさんいて 凄いなぁ・・・」




ほぅ、と小さくため息を零し 一騎は部屋にあるソファーへと腰を下ろした。
そのまま近くにあったクッションを抱え、顎をその上に乗せて 
上目遣いに 総士へと視線を向ければ 総士はテーブルの上に
紅茶が入ったカップを二つ置いて 更にクッキーが盛ってある皿をその横に置いた。




「どうぞ」



総士は簡易に一言漏らすと、一騎の横に腰を下ろし、
台本をパラパラとめくり始めた。
一騎は”どーも”と返すと 少しはにかんで、おずおずと
ティーカップに手を伸ばした。


ふーっ、と息を吹きかけて 少し紅茶の温度を調節すると
カップにそっと唇を寄せて こくり、とひとくち口に含んだ。




「わぁ、・・・・おいしい」




嬉々とした声が不意に虚空へ昇っていく。
隣で微笑む一騎を流し見て 総士は頬を綻ばして呟いた。




「おまえ、前に好きだって・・いってただろ?
皆城家特製スペシャルブレンド。」




「ーー覚えててくれたのか?」



「・・・いちおうな」




台本に目を通しつつ、控えめな言葉を返す総士は
妙に落ち着いていた。というより、冷静を装っているみたいに
一騎には見えたのであった。もしかしたら、多少なりとも照れているのかもしれない。


一騎はふっ、と微笑を尚も零すと優しい声で言った。



「ありがとう、総士・・・」





高めの声が透き通った風に交じって
更に優しく響いてくる。


広い室内に木霊した温かな息吹は 総士の肌を
柔らかく包み、心に波紋を作り出した。


二人だけしかいない、総士の部屋は
いつもより 少しだけ緊張感を漂わせていた。
が、今一騎が放った一言によって 空間の空気が
変化し、春のような暖かさを含み始めたのであった。



一騎・・・・お前はすごいな。




総士はそう思わずにはいられなくなっていた。
この隣にいる存在の温かさに 心底驚かされる
と同時に 全てを奪われてしまったのだから。

そんな総士の心は露知らず 一騎は尚も優しい声で
総士へと語りかけるのであった。





「練習・・まずは読み合わせから、にする?
それとも大まかにおれが劇の内容を説明した方がいい?」



一騎の優しい問いに、総士は一呼吸おいた後、
口を開いたのだった。



「あぁ、・・そういえばこの脚本、オペラ座の怪人を脚色した
話じゃないんだったな・・・?完全なオリジナル、だったか・・?」




「うん!劇作家の日野恵さんが書いた脚本なんだ!凄いだろ?」


「へぇ・・・、著名な人物が書いてるんだな。またどうして・・・?」



かなり有名な人物が竜宮学園の演劇部に尽力するとは
思いもしなかった総士は 一騎にその真相を聞いてみることにした。
たしかに一騎は白の王子として顔も名も、島全体に通ってはいるが
通っているだけで、全員と知り合いというわけではない。

一般的に云えば、一騎と関わりがあるのは中学校や小学校が一緒だった
クラスメートや友達くらいなものであった。例外として演劇を見に来てくれているお客さん
の常連さん、も云える範囲ではあった。



「ほら!演劇部OBの日野道生先輩!道生さんのお母さんが
日野恵だったらしいんだ!!」




「あぁー・・、そうだったのか」



思い出したような、出さないような。
そっけない声で 曖昧に答える総士に 一騎は少しだけムッ、とするのであった。



「なんだよ〜、その返事。おまえ、まさか覚えてないのか・・?」



一騎以外のことで 覚えていることといったら数少ない。
そんなこと言えるはずもなく、総士は困った顔をしながら
渋々謝る態度をみせていた。



「悪い・・。あまり顔は覚えてない」



総士は”怒ったか?”と横にいる一騎をそっと覗きこんでみる。
一騎は いちおう反省の色を見せている総士に
そんな顔をされてしまえば どうすることも出来ないようで、


「しょうがないやつ・・・」


とため息混じりに笑ったのだった。



こういうとき、思い知らされる。
一騎の心が優しいことを。そして、人を怒るということが
極端に苦手な性格を持ち合わせているということを。


一騎は総士に視線を合わせて 道生がどういう人物か
軽く説明したのであった。



「道生さんはよくおれの面倒みてくれてた人だよ。
劇の練習付き合ってくれたり、演劇に関しても指導してくれたり・・
よくうちの演劇部覗きに来てくれてたんだーーー・・。なんでも
部の創立者って道生さんだったらしいから、何かと気にかけてくれてたみたいで・・」


嬉しそうにしみじみと語ったあと、ジェスチャーでもするかのように
一騎はトントン、と自分の額に手を当てて
”ここにバンダナ巻いてた人”と云った。



総士は 一騎の話を聞いて、もう一度頭内で模索してみると
ある一点で記憶が留まることに気がついた。




「あぁ・・・!思い出した。お前にマンツーマンで指導してた
赤いバンダナをした男性・・あの人がそうか」



軽快な声を空に出して 総士が記憶の断面を吐き出せば、
一騎は嬉しそうに深く頷いた。



「そうそう、そのひと!その人が道生さん。
で、今回の脚本を書いてくれたのがそのお母さん!
脚本、道生さんが頼んでくれたんだ」


一騎は台本の一番後ろのページを開いて、協力者や
製作者が載っている一覧を総士に見せて、にこやかに声を弾ませた。



「ほら、すごいだろ?今回は日野恵さんの知人の方まで
協力してくれてるんだ!演劇部員、全員に今回役が与えられてるから
照明とか緞帳とか細かい作業は日野恵さんの知人がやってくれるんだ。
なんでもその人たち、その道のプロらしいよ!!」



「ーーーそうか、凄いじゃないか」




隣で幸せそうに語る一騎の姿を見つめ、総士は
心から喜べる自分を発見するのであった。
本当に劇が大好きで、懸命に劇と向き合う一騎の姿勢は
少なからずも自分の心理に影響を及ぼしていると総士は思い至るのだった。




「で、劇の内容は・・・?大まかに説明してくれるか・・?」





微笑む一騎の様子を窺いながら、総士は
これから自分達が練習する劇の内容について 一騎に
あらすじを教えてもらおうと 乞う口調で詰め寄ったのであった。
一騎は、思い出したように”あ、そうだった”と口には出さない表情で
台本を急いで捲りながら 話をするのだった。






「え・・・っ、と、ーーこの話は悲恋なんだ。
ファントムが結構複雑な設定でさ・・・かなり演技力が必要になると思う。
・・・けど、総士なら出来るって信じてるし、・・どことなくだけど雰囲気も
物語のファントムに似てる感じがするからーー役作りはしなくていい、と思うんだ」


一騎は焦燥を滲ませて、言の葉に思いを乗せた。
相手を信頼し、そして心配する両面を兼ね備えた微妙な心持を
口調に浸透させるも、決して総士を見くびることはなかった。
また、慢心させる気もなかったのであった。


総士は、そんな一騎の気持ちを持ち前の鋭い勘で察すると
穏やかな表情で彼を向かえ、落ち着かせたのだった。


「わかった。・・お前がいうなら、きっとそれは確かな事だな」


柔らかい微笑みを相手に投げかければ、傍らに佇む存在は
ほっと息を吐く間もなく 力をゆるゆると抜いて 少しの
焦燥をかき消した。そうして 総士の瞳に吸い込まれる形で
自らの瞳を大きく揺らし、温かい声を発したのである。




「そういってもらえて・・嬉しい。ありがとな、総士」



相手の信頼に応える声はどこまでも澄んだ色をしていた。
広い空間の中で二人きりの時間を過ごす今が とても
大切で慈しむべき現在なのだと 次第に痛感していく。
総士はソファーに座りあう自分達の僅かに出来た距離を想った。


こんなに近い距離にいて、 何一つ叶わない自由。
手を伸ばせばすぐそこにいる、愛しい人へ
自分が本当にしたいことが出来ないもどかしさ。



欲しがるな。
思い上がるな。

わかっているのに、踏ん切りがつかない自分が滑稽で
笑うことすらもう出来ない。


愚かで恥ずかしい自分という存在を滅しられたら
どんなに楽かと時々想う。



どうして後悔ばかりが未来を描いてしまうのか。
僅かな希望を信じたいのに 闇の中で生きてきた自分には
目の前の光が焼け付くように眩しすぎて、熱すぎる。

それはきっと、手に入れられない証拠であり、距離であるのだと
実感してしまう。どんなに好きでも、超えられない壁がある。

悲恋の終末は、多分 互いの想いが破滅を呼び込んでしまうんだと思った。




一騎、一騎・・・・
僕は朽ちてもかまわない。
だけど君は いつまでも明るい場所で 輝き続けて欲しい。


それが自分とあの人の願い。
そう、信じている。




総士は二人で過ごす今を痛切に感じながら
甘く耳に残る愛しい人の声を聴いた。


物語は、悲しい未来を音色に変えて
総士の耳へと届いていくのであった。























物語のすべては、ある王家で起きた、一つの間違いが発端になって、
悲劇を招くのである。




○×□△年、新国連王国。一人の后が一つの魂を
この世に産み落とすところからすべては始まる。
大国である新国連王国は代々世襲により、その王位を継承してきた。
そして今回も、例外なく后が産んだ第一子である王子に国の全てを継がせようと
国王は先の未来を思い描いていた。
が、しかし 皮肉にも待望の第一子は国王の血を引いてはいなかったのである。

后は、専属騎士である男性と恋に落ち、
その子供をお腹に宿し、産んでしまったのである。
国王に事実を黙ってはいたものの、心無い周囲の家来に
二人の咎を暴かれ、国王の耳に真実が露にされてしまうのに
そう時間はかからなかったのだった。

国王は后と恋仲になった騎士をギロチンにかけ、命を奪った。
そのショックから、間もなく後を追いかけるように后も命を自ら絶ち、
わが子も道連れにしようとしたが、生憎、生まれたばかりの子供は
迅速な手当てにより、一命を取り留めるのであった。

残された子供は、后の忘れ形見として王の心に残り、
子供まで殺すことはしなかった国王だが、
裏切りの傷は深く王を悩ませ、后の子供である赤子を
城の地下の暗い闇牢へと幽閉し、人ならぬ生活を強いるのであった。

やがて時は経ち、国王の側室が子を産み落とした。
国王は、彼女との間に出来た
その子供に国の全てを継承することにしたのであった。
だが跡継ぎを産んだ側室は 野心に溢れ、后を密かに憎んでいたため、
子供を清浄な心で育てることができなかった。

その結果、跡取りである彼女の息子は 成長してまもなく、
悪政を働き、国家を存亡の危機に追いやるのであった。

国は日に日に衰え、錆きり、国民は嘆き苦しんだ。
国王は同時期、病に倒れ 生きる気力を失っていたため
第二王子の独裁政治を止めることができるのは 最早
王妃ただ一人という状況になっていたのである。



そんな中、城の地下牢でひっそりと暮らす 一人の少年に
国を愛する国王の側近達がスポットを当てるのであった。
陽の当たらない場所で静かに闇と同化する少年は
亡き王妃の面影を背負い、スクスクと立派に成長していたのだ。
純真な心と清浄な気を纏い、彼は孤独の中 息をし続けていた。

そんな彼の世話を長年に渡り、勤め上げてきた 亡き王妃の側近だった家来は
血筋こそ違えど、王位としては第一王子で通っている彼へと 国の建て直しを
打診し始めるのであった。公の場では、第一王子は彼であり、王位は
本来なら正妻の生んだ子供とされているので 問題はなかった。
今まで王国内では病弱な第一王子で通っていた。未だ病状は改善されず
命を危ぶまれる状態だと国民に説明し、
心身共に正常且つ逞しい第二王子に王位を継承させることを
納得してもらっていたのだった。

が、ここまで国を衰退させてしまった第二王子に期待するものなど
今更おらず、病床に伏していたとしても 王位継承を第一王子に
移行させるべきだという暴動が後を立たない状況となっていった。

騎士と后が間違いを犯して生れ落ちた子供である事実は
王に近しい家来達と国王のみ知っており、国民は知る由もない。
しかし 国の劣化に伴い 第二王子を継承者に推薦する者は
最早母親の王妃のみとなってしまっていた。
病床に伏してしまった国王もまた、国の存亡が危ぶまれる今
血筋にこだわってはいられなかったのである。

直ちに城地下の牢獄に幽閉している第一王子を
表の舞台に引き上げて 王位継承を移行するよう
手筈を整えるつもりであった国王だが、想い虚しく
準備途中に命が尽きてしまうのであった。

再び陽の目を見ることが叶わなくなった地下牢の王子だったが
その御心はどこまでも美しく、誰を恨むはずもなく
今までどおりの人ならぬ生活を送ろうとしていた。


そんなある日。城で豪華絢爛なパーティーが催された。
貴族達を沢山呼んで遊びまわる第二王子はついに
家来達が必死にかき集めた国家再建費に手を着け始めたのであった。
今までは国民から高い税収を巻き上げ、よりよい暮らしをしていた
第二王子だったが、それもソコをつき、家来達が密かに動かし集めていた
国の建て直し費用を奪い、遊びに回し始めたのであった。

これに怒った国王配下の家来達は クーデターを密かにもくろみ、
第二王子の首をいつか必ず頂くと危険思想を強く抱くことになる。
そうとも知らず、第二王子は王妃と自分の側近、貴族たちと
華やかなパーティーを存分に楽しむ中、一人の女性に目が留まるのだった。


凛と美しく清楚な花は、空気を柔和に変化させ、
新たな喜びを虚空に生み出す。
控えめな美貌と綺麗な声は 玲瓏な月を思い起こさせる。
華奢で艶やかな黒髪、珠のような肌。その存在に
人格全てが奪われる錯覚が起こるほど 強烈な印象を持たせる女性。
彼女はソプラノ歌手である。賛美歌を歌う彼女は聖なる天使より艶やかで
才気に溢れていた。パーティーの余響であったはずの歌は、
第二王子の瞳を舞台上から離すことはなく、一瞬にして
虜にしてしまったのであった。

彼女に一目ぼれしてしまった第二王子は、すぐに正妻として
迎えたいと家来達に告げた。が、当人は王家の命令であるにも関わらず
臆することなく即座に断りをいれたのであった。
自分に背いた彼女をますます気に入ってしまった第二王子は汚い手を
使っても彼女を手に入れようと 沢山の手を尽くしたのはいうまでもない。

場面は変わり、パーティー後の夜の刻。
人に酔った彼女はあらかじめ用意されていた一室に
今晩寝泊りすることになっていた。が不意に外の新鮮な空気を吸いたくなり、
城庭にある小さな噴水近くで美しく照り輝く月を見ていた。
すると噴水の丁度足元に違和感のある芝生が引かれているのに彼女は気づいた。
その芝生を手で払いのけると、そこから小さな隠し扉と長く闇に続く
階段が顔を覗かせたのであった。

好奇心に駆られた彼女は、ゆっくりと扉を開け、階段を降りていくと
地面に思われた部分が地下となって表れたのだった。
広がる地下には灯火がいくつかついており、奥へ奥へと進んで行くと
鉄格子がされ、誰かがすんでいるような気配を感じた。
彼女はそこで声を発し、気配のするほうへと呼びかけた。

するとそこには端整な顔立ちをした気品溢れる空気を醸し出す
綺麗な瞳の少年が佇んでいたのであった。


二人はそこで始めて出会い、同じ時を過ごすと同時に
面白いくらい自然に恋に落ちるのであった。


第二子に気に入られた彼女は舞踏会があるときはいつも
呼ばれるようになっていくが、そのたびに 彼女は
第一子の王子に会いに行くようになる。
やがて二人は愛し合い、彼女は子を身ごもるが
第二王子にそのことを知られ、自分以外の子供を身ごもった彼女に
愛憎を感じた第二王子は、彼女の命を奪う決断をする。
第二王子と婚姻を交わしていない彼女。彼の
一方的な想いだけで死刑台へと送られる矛盾に周囲の反感を
かう羽目になった第二王子だが、それらの声を振り切り、
公開処刑に踏み切ったのだった。

永遠の彼女を手に入れるため、第二王子は
処刑を実行するも、それはある人物に阻止されるのであった。
それは 城に住み着いたファントムーーその人である。

白い仮面で顔を隠し、黒いマントで身を包んだ”ファントム”と名のる
怪人は、公開処刑にされそうになった彼女を助けると
第二王子に牙を剥いた。

彼女が処刑されるかもしれないという情報は 后の側近であった
家来から得たのである。


義兄弟にも関わらず 彼女を守るため
王位継承権をもつ弟に剣を向け、戦いを挑む第一王子。
優勢と思われた戦いに大きな傷を残したのは 第二王子の母親、王妃だった。
息子を守るため 不意を突いて第一王子の背中に小刀を突き入れ、
第二王子を優位にさせるも 周囲にいた家来達の証言によって
事態は一変する。白い仮面のしたに隠されていた その顔は
亡き后、正妻である自分の憎むべき対象であった彼女の
面影を感じさせる綺麗な顔立ちの少年であったのだ。


第一王子だと理解した王妃は
罪を犯した者として 退陣を余儀なくされ、罪を償う至るべき処置に
つくのであった。そうして、この件以来、急速に力を失くした第二王子は
母親が第一王子の命を奪ったとレッテルを貼られ、尚且つ 国王の側近が
首謀者となってクーデターを起こされることになる。

刺され、命を落としてしまったファントムーー第一王子だが
その第一王子との子をお腹に宿した彼女が 亡き第一王子の正妻として
そして新たな女王として国の悪政を改善し、第二王子の失態を裁き、
国を見事にまとめていったのであった。

また、女王を命がけで守った第一王子はいつまでも
国民に愛され、美談として語り継がれるのである。
そうして女王陛下は 世襲でなく引き継がれる王権の新たな
礎を築きながら、生涯誰とも再婚せず、
第一王子を愛しぬいたという。



























「ーーーー、これがこの物語の大まかなあらすじ。
どう?ちゃんと伝わった、かな・・・?」




不安げに聞いてくる一騎の栗色が華麗に瞳の奥へと飛び込んでくる。
総士はざわつく胸を、落ち着かせるため きゅっと掌に拳を作って口を開いた。



「僕はファントムの役・・・・なんだよな?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・地下の牢獄に幽閉され、る・・」



声が空気に混じり合い、微かな震動をみせた。
恐怖から来るものなのか、それとも過去の傷が疼いたのか。
何故か呼吸が上手く続かなくなっていった。


あの頃の自分と、物語のファントムが、見事に重なる幻覚を
途方もない意識の果てで垣間見た気がした。

総士は瞳を細めると俯き加減に一騎へと言の葉を紡ぎ、
生まれ来るあのときの感情と記憶の断片に追い立てられていった。
深く今も残る、トラウマ。まるで世界の果てがそこに広がるかのような暗闇の中で
自分達はひたすらか細い息を潜めて 光を求め続けた。


生きる意味すら解からずに、ただ。




「・・・・・・・・・・僕に、務まるだろうか」




あまりに似た状況下に置かれて 自分は
何かのきっかけで 本性を劇中で出したりはしないだろうか?

過去の傷に縛られて、劇を妨げてしまわないだろうか?



不安が募る。まさか、こんな内容だとは思わなかった。
オペラ座の怪人のような、ステージに立つクリスティーヌを愛してしまったがために
殺人を犯し、やがてはその仮面下の醜さを知られ 彼女に拒絶されて、朽ち果てていく男
の様を演じる方がよかった。


こんな、生々しく滲み出る過去の記憶を呼び起こさせる
設定の役を演じなければいけないなんて・・思わなかった。

総士はか細く吐かれた言葉に、拒絶が
含まれていることを自分自身理解した。


どんなに平気な素振りをみせても、強がっても
所詮過去からは逃れられない。
乗り越えられない壁がある。

未だ夜中、悪夢にうなされるというのに・・自分に
務まるのだろうかーーーー、いくら劇とはいえ
傷が暴れるのは必至で。・・・自制することは、できない。
無意識に出てきてしまう 後遺症なのだから。



総士はキュッ、と拳に更に力を入れると うな垂れるように
床に敷かれた絨毯を見つめた。
動悸が段々と激しくなり、嫌な汗が背中に流れる。



人を人だと思えなかった あの頃。
人ならぬ生活の中で 多くを知った。
人間は時に残酷になれるということを。
そして、生きる意味を見失ってしまえば
面白いくらいに人は 死へと近づいていける、ということを。



顔を落として 押し黙ってしまった総士を傍らで見つめ、
突然様子を変えて 弱弱しくうな垂れてしまった総士に対し、
一騎は驚くと同時に 愛しさを感じていた。


普段見せることのない、弱さが 自分の目の前にある。
それは彼が自分を信頼してくれているから。
そして心を許してくれているから。その証拠には充分であったのだ。


一騎はソファーに並んで座る 琥珀色の長い髪をした黒の王子に
両手を伸ばすと 上から包むように抱きかかえた。
ぎゅうっ、と愛しいものを決して離さないとでもいうように
自らの体温を 彼へと送り届けたのである。





「か、・・・かずき?」



突然の抱擁に 動揺したのか、総士はうな垂れていた首を
持ち上げて 包み込んでくる熱源を見上げた。
すると、今度は体勢を変えて、一騎は首に腕を回し
抱きついてくる。総士は自然と鼓動が先ほどの音と違うものに
変化していくのを察知した。


これは恐怖から来るものではない。
恋心から来るものなのだと。





「大丈夫・・・総士なら出来るよ。
おれ、なんでもするから・・・・総士の力になれるなら、
なんだって・・・出来る」





殊勝な声に色気が交じり、なんとも言えない
艶かしさが耳元を掠めた。
綺麗な肌と華奢にも関わらず 豊満な肉付き。
心地よい重さが布越しに伝わってくる。

爽やかなシャンプーの匂いと甘い声が神経を刺激し、
心臓を昂ぶらせていく。


総士は思わず回してしまいそうになる
自分の腕を制するのに必死だった。



今、彼をここで抱きしめてしまったら・・・抑えきれなくなるのは
自分でも自覚していたからだ。
彼を傷つけるような行為だけは 避けたい。



彼を守るために自分は生きているのだ。
ここで踏み止まらなければ、意味がなくなる。



総士は伸ばしかけた手をきつく握り締めると
首に撒きついた手を優しく解いた。





「ごめん・・・僕らしくないことをいって、
お前を困らせてしまった。・・・・許してくれ」



離れた体温を寂しく思いながら、総士は
一騎を自分の体から離し、距離を作った。
先ほどと同じように、埋まらない距離に胸が焼ける。
けれど この距離を作ったのは 他でもない自分なのだ。

それは間違いなく、保たなくてはいけない
最低限の距離であると 自身でわかっていた。
総士自身、その距離が辛かったのだ・・・口に表せないほどに。


抱擁を解かれた一騎は 切ない色を瞳に宿し、
身体を竦めて 総士に一歩迫る形で詰め寄った。



「い、いいんだ・・・おれこそ・・・ごめん。
おれ、総士が気を落としてるように見えたから・・なんとかしたくって
・・・・変な事、した。ごめん・・・気持ち悪いよな、・・・こんなこと」


思わず抱きついてしまったことを詫びると、
一騎は羞恥心に駆られると同時に 居た堪れない気持ちになったのだった。
どういう形にしろ、自分の抱擁は相手に拒絶されてしまったのである。
これ以上、嫌われるようなことはしたくない。

そう考えた一騎はソファーから離れようと立ち上がりかけた、そのとき。
それを制する腕が伸びてきた。



総士の力強い腕が、一騎の腕を掴む。
まるでそれは 求めるかの如く、相手をその場に拘束していた。





「ちっ、・・・・違うんだ!!!気持ち悪いわけ、ないだろう・・!!
僕は・・・・僕はただ・・・・、っ」



そこまで言って、言葉を呑んだ。
それ以上声に出してしまったら、言ってしまいそうだった。






”お前が好きだから、これ以上は受け入れられない”と。





総士の思わぬ拘束に、一騎は暫く呆然としていた。
が、何かを言いよどんでいる総士の姿を目にした一騎は
総士の正面に回ると膝を絨毯について、総士を覗きこんだ。
そうして、紡がれた声の・・優しさを知った。




「総士・・・おれ、前に言ったよな?
おれは総士が好き。
・・・・それだけ伝えられれば、幸せだからっ、て。
いいんだ、何も言わないで。無理しないで・・・おれのために。
苦しまないで・・・・・・・・・・・・・・・・・」




両手で総士の頬を包む一騎。
表情はとても穏やかで、慈愛に溢れた瞳を揺らしていた。
黒い艶やかな髪が部屋を明るく灯すシャンデリアの光の渦に反射して
優しいグラデーションを作り上げていた。


総士は目の前の愛しい人が 一瞬天使に見えた。
その華奢な体に白い羽をつけて 空へと飛び立ってしまえる
儚い存在のようだと思えた。自分をこんなにも支え、受け止め、
救い上げてくれるこの天使に 何をしてやれるだろうと
いつも想っていた。

光を放つ彼に焦がれ、地下の暗闇から地上まで這って出てきた自分。
光を今、目の前に 泣き出しそうな自分がいる。
その温かさと眩しさに 懐かしい光が重なる。
色々なものを捨ててきた。沢山の人を傷つけて、それでも
この光にもう一度出逢いたくて、ここまで来た。


偽善に満ちた自分に、好きだと言ってくれた君。
本当の自分を好きになってくれたわけではないと
解かっていても 嬉しくて堪らなかった。






「一騎・・・・・僕は、・・・・お前にそんなことを言ってもらえる
資格はな、いんだ・・・・・」




「そう、し?」




「ーーー僕は、お前にキスをした・・・なのに、何も言わず・・関係を
濁して・・・今だって、僕はーー・・お前に縋るようなことをしておいて、
お前が伸ばしてくれた手を放して・・好意を無駄にした」





苦痛に歪めた表情は抱えている想いの
半分も表せない。
何も言えないくせに、行動では ”好きだ”と思わせる
素振りを見せる。とことん卑怯なやり方だ。
これじゃあ、どっち道 相手を傷つける結果を招くに決まっている。
だったら、・・・だったらいっそのこと・・・。






「・・・・・・・・・・・総士」










「ーーーーーーーー僕はズルい。自分ではなにもしないで、
・・・・・してもらうばかりで」





「そんなこと・・・・・・!」





一騎は両頬を包んでくれた手を今度は背中に回してきた。
再び、抱きついてくる温もりが トゲのように心臓へと刺さった。
もう、曖昧にしていたら 駄目だ。
いつか・・・・彼を傷つける。







「ーーーーーーーー・・・一騎・・・こんな僕の、どこが好きなんだ?」





自分自身、はっきり自覚するべきなんだ。
思い知るべきなんだよ。




「・・・・・・・え?」





今までは自分の空想の中で考え続けていたことだけど
この際、はっきりと一騎に言葉にしてもらって
表の顔である皆城総士を好きになってもらったのだと僕は知るべきだ。






「好きになってもらえるところなんて・・・ないはずだ」




本当の自分を好きになってもらったんじゃないと
僕はもっと理解しなきゃならないんだ。
じゃないともう、この気持ちは抑えられない。



抑えきれない・・。





「そんなこと、ないよ!・・・・・だって・・・・、っ」








僕なんて、もっと傷つくべきなんだ。







「お、れ・・・・」







もっと・・・・闇に、堕ちて・・・・





































「だって、おれ・・総士の瞳、とっても綺麗だって、想うから・・」




































「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え、っ」





























「月明かりの色に似てる、優しい銀色」
























「ーーーーーーーーーーーーーー、」




























「好きだなって想うよ。綺麗な銀色の瞳・・・」






















「・・・・・・か、ず・・・・−−−−き」





































「きっと総士の心が澄んだ色をしているから
綺麗なんだ・・・・・おれ、わかってるつもりだよ・・・そういうの」


























「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」






















目の前が、ぼやける。














一騎・・・・・・・お前はなんで
あの頃と変わらないまま、育っていけたんだろうな・・・?












僕とお前は違いすぎる。






嘘ばかりついている僕を好きになっても、お前が
あとで後悔するだけだって、思ってた。




本当の僕じゃない作り物の僕を好きだと言ったんだって
ずっと考え続けていた。



でも・・・・だけど、
お前は・・・お前の心はそうじゃなくて。









あのときと、変わらないまま
其処に在って。















































『会いに来る必要なんてない。・・会う理由なんて、ないだろ。
・・・僕はお前を・・友達、だなんて思ってないんだからな・・・!』











『おれにはあるよ、・・君に会う理由』












『・・・・な、なんだそれ・・』














『だって、君の瞳、とっても綺麗だから・・・』














『・・・・・・・・え?』
































『月明かりの色に似てる、優しい銀色だ』




































「・・・・・・・・・また、僕を闇の中から救いに来てくれたんだな」











「ーーーーーーーーーえ?」



















見つけてくれた。







君は、暗闇の中から・・本当の僕を。


















































『また会いたいって想うよ。綺麗な銀色の瞳に・・』




























あの日の面影が今、重なる。




色褪せずにずっと抱え続けていた、君の言葉が。
僕を地上に連れてきてくれた勇気が。



消えずに今も、僕に残ってる。














あの頃と
変わらない君の言葉を 信じて、いいだろうか?















絶望の中で蹲っていた 醜い自分がもらった言葉を
君は今の僕にもう一度言ってくれた。








それは今の僕を見て紡いだ言葉ではなく
本当の僕を見つけ出して紡いでくれた、言葉。




殺してきた、本当の自分を 探し当ててくれた証拠。








一騎、信じていいか?






お前の気持ち、・・・・・・・・僕にくれるか?













何があってもーーーー僕をお前は
受け入れてくれるだろうか・・・・?



















今まで見てきたお前の景色すべてが
偽りだと知ったとき


お前は僕になんて言うんだ?













真実が残酷な刃を突きつけても尚、
お前は僕を見つめることが、できるだろうか?















なぁ、一騎
お前に訊きたい事がある。









お前は
本当の僕の姿を知っても尚、好きだと・・
僕を好きだと 囁いてくれるか?





罪を背負っている僕に
愛を・・・もう一度囁いてくれるか?





もしお前が



僕の罪ごと僕を愛してくれると云うのなら
僕はもう、・・・・何もいらない
















もう、お前しか欲しがらないと
神に誓おう





















「一騎・・・・」












「そ、・・・・・・・・うし?」














・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だから
















































「お前が会いたがっているファントムは・・・・・・・・僕だ」





















二人の今在る距離を、壊す。























「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」




































このままじゃ、いられない。











































「僕は、・・・・・・・・・・・・・本物のファントムを殺したんだ」














































このままじゃ、哀し過ぎる・・・・

























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青井聖梨です、こんにちは。
いかがだったでしょうか?物語りも徐々に大詰め。
丁寧に書いていけたらと思っております。


少しずつ謎を清算していって、最後は
晴れ晴れとした気持ちになれるよう頑張りたいです。
ここまでお付き合い、ありがとうございました!!

次回、ひとつの謎が解かれるかも?
それではまた〜。

青井聖梨・2007・12・24・