どうか泣かないで、聞いて欲しいんだ。












泣かないで、運命。


















キラと出逢ったことを不幸だと言っていた。
そう、ミーアから議長とレイのしていた話を俺は聞いた。

議長の言葉の真意が今まで掴めなかった俺だけど、
このひとことを聞いて、俺はやっと自分の中の歯車が合致した事に気づく。

そうか、そういうことか。
俺は利用されていたんだ。
議長の求める戦う人形に、仕立て上げられていたんだ。



”討ちたくない”



キラ



”討たせないで・・・”




キラ、ごめんな。




お前を守ろうとしたのに。



今度こそ、お前を



この手で守れると思ったのに・・・





そのために、力を求めたのに。
こんな結果になるなんて・・・。









俺は浅はかだった。



あまりにも―――――――。




+++













議長・・貴方は きっと、知らないんだ。








人が本当に人を愛す瞬間を。



人が本当に人を愛せるという真実を。






俺がそれを初めて知ったのは、あの空に浮かぶ
月に住んでいた時のことだ。




紫玉の大きな瞳に初めて見つめられた
あの瞬間から 俺の心はもう

君だけのモノだったんだ。 



きっと、キラ・・・お前も知らない事だろうな。





あのとき、君と出逢って 俺は
”運命”という言葉を本当の意味で知ったんだ。


そう、君と出逢えたのは、全て運命。





君をこうして今も愛し続けている俺がいる。
これを運命と呼ばずに、何と呼ぶんだ?


敵として戦っても、お互いを心の底から憎んだとしても、
尚 俺たちは一緒にいる。

・・一緒に居ようと、する。


それは何故かなんて事、議長 ・・・貴方は答えられますか?



キラ・・・お前は答えられるだろうか?







俺は答えられるよ。




すぐにでも、答えられる。
それは運命だからだ。




俺とお前の間にある、運命の糸が
俺たちをいつでも手繰り寄せる。


ただ、それだけのことだ。



偶然という名の出来事に、姿を変えて
いつでも 何度でも 俺たちを引き会わすんだ。


俺は、この見えない”運命”の糸に感謝するよ。






キラと出逢えない運命ならば


そんな運命、俺はいらない。


たとえどんなに不幸になったとしても、
それが幸せになれる運命だったとしても。


そんな運命、俺はいらないんだ。


そんな運命は 俺が欲しい本当の幸せなんかじゃなくて・・・。
たとえ周囲に馬鹿な奴だと蔑まれたっていい。

それでも俺は、きっと お前と出逢える運命を選ぶ。
何度でも・・何度でも選ぶ。


何故なら、


お前との出逢いこそが、俺にとっては
何よりも幸せな事だから。



だから・・・お前を知らずに幸せを手にする運命ならば、
俺は迷わずお前と出逢って不幸になる運命を選ぶよ。


キラ―――・・。



お前も、そうだろう?







俺がこんなこと口にしたら、お前はなんて言うだろう。

きっとお前は 


”馬鹿だね、君は”


そう ひとこと呟いて



綺麗に笑ってくれるんだろうな・・・





そうだと、いいな。
















”アスラン”







”アスラン・・・”













透き通るような、懐かしい声が ふと耳を掠めた。
愛しい俺の幼馴染が、俺の名前を遠い意識の果てで呼ぶ。


俺は覚醒しない記憶と戦いながら、
瞳をゆっくりと開けると 君がその場に佇んでいた。



その瞬間、脳裏にあの日の君が
映し出された。





あの、初めて逢った日の 君と。




君はあの日と変わらない、紫玉の大きな瞳で
俺を一心に見つめていた。







俺の瞳からは、・・・涙が溢れた。





あぁ、・・・どうか泣かないで。



どうか泣かないで、聞いて欲しいんだ。


俺の運命。

















俺は、キラ ・ ヤマトが好きなんだ。






愛してるんだよ。









議長、・・・貴方は知っていますか?












人を愛すると、涙が頬を伝うということを。






人を愛すると、












・・・運命が泣くという事を。






















泣かないでくれ、俺の運命。














まだ愛しい人に、伝えていないんだ。

大切な言葉を。





それまで どうか、泣かないで。












泣かないで今は













ただ、愛しい人の名を 呼ばせて・・・・





















「キ・・・・ラ・・・・・・」























愛してるよ。






















NOVELに戻る   〜サヨナラまで数cm。



こんにちは、青井聖梨です。
この小説、アスランの独白ってトコですね。脱走してAAに収容される辺りを書いてます。
次はキラです。キラの独白。”君は僕に似ている”がアスキラチックに
聴こえた記念小説です(笑)
それでは、失礼しました。

2005.8.4.青井聖梨