いつからだろう
「そぉ・・しーー。・・・触っ、て?」
友達として側に居る事が
苦しくなったのは
好きなのに、好きだから。
「か、ずき・・・・」
信じられない、という表情で見てくる総士を
俺は黙って見つめていた。
心臓は早鐘のように打ち続ける。呼吸は少しずつ荒くなって、
頬は蒸気し始める。体中が痺れた様に、今か今かと熱を求めている。
自分の中心に、熱が篭る。
俺は涙でぼやけていく視界の中で、必至に総士へと言葉を紡いだ。
その声は、いつもの自分の声とは思えないような女々しさがあった。
何処か甘さを含んでいるような、ねだっている様な声色だ。
そう、自分自身で感じていた。
「熱い、よぉ・・・そーしっ・・」
そう言いながら、俺は自分の中心であるソレを
ズボンの布越しから握り締めた。
総士は先ほどよりも瞳を大きく見開いて、
ゴクンと唾を飲み込んだ。
何言ってるんだ、俺。
なにやってるんだよ、俺。
今にも消えそうな理性は、そう頭の中で呟いている。信じられない、と。
でも全身は、情欲が駆け巡る。快感を求め、心がさ迷う。
もう、身体が限界まで昂っている。理性がもう消えかかっている。
あと僅かしか、理性を保てない。
そう確信した俺は、最後の理性で総士に向かって
一番伝えたい事だけを口にした。
ずっと、言えずにいた 一言を。
そして、ずっと言いたかった一言を。
「総士・・・・・・好き。」
ずっと好きだった。
友達じゃ、嫌だ。
友達なんかじゃ、もう嫌なんだ。
心の中でいつも、そう叫んでいた。
でも。
・・やっと、総士に言えた。
ずっと伝えられずにいた、一言。
やっと伝える事が出来た。
ーーもう、・・・充分だ。
言えただけで、嬉しい。
それだけで、嬉しい。
心の中で、そう思いながら
俺は最後の理性を手放した。
+++
僕は頭がどうかしてしまったのだろうか。
今、この現状を信じられないでいる。
というよりも、
これは僕の夢なのではないかと、思う。
いや・・もしかしたら幻影、なのだろうか?
あまりにも僕が切望してしまった結果が
目の前に居る、虚像の一騎なのではないか。
そんなことさえ、考えられる。
何故なら、一騎が。
・・あの純真無垢な一騎が。
僕を好きだと言っている。
その魅力的な身体を使って
僕を、・・・誘っている。
夢だとしか、僕の願望が作り出した
一騎の虚像だとしか考えられない。
・・でも。僕の夢にしてはあまりにも生々しく、
僕が作った幻影にしてはあまりにも鮮明だ。
僕は震える手を、静かに伸ばし、一騎の頬に
そっと触れてみる。
一騎はそんな些細な僕の接触にも反応を見せ、”あっ・・”と声をあげた。
ビクン、と身体を震わせた一騎の身体が、妙にリアルで色っぽい。
触った一騎の頬は、熱く、その熱が僕の掌へと伝わってきた。
僕は彼が虚像の一騎ではなく、本物の一騎だということをやっと確信した。
確信し終えた僕は、一騎の頬から掌を離そうと身じろいだ。
すると一騎は離れていく僕の手を取って、ギュッと握り締めた。
僕は驚いて、一騎から一歩引くような形で、身体を後ろへと動かした。
一騎は涙目になりながら、瞳を大きく揺らすと 僕の手を握り締めながら
僕を見つめてきた。
僕は思わず一騎の可愛さと視線に動揺してしまう。
一騎は何を思ったのか、握り締めていた僕の手を、自分の口元まで
移動させると 僕の指を口の中へと含んだ。
一騎は僕の指を必至に咥えこみ、舌を使ってクチュクチュ、と淫乱な水音を
室内中に響かせた。僕の指を舐め上げる一騎。
あまりに淫らな一騎の姿を目の前にした僕は、理性を保つのに必至だった。
自分の中心に熱が篭るのが自分でもわかる。
きっと今に僕の中心は形を変えてしまうだろう。
押し倒したい衝動に駆られる。
欲情が全身を駆け巡り始める。
僕は唇をキュッと噛み締めると、
意を決して一騎へと問いかけた。
「一騎・・・僕が好きというのは 本当なのかーー?」
僕の言った問いに、一騎は動かしていた口を止め、僕の指を
口から出すと、静かに答えた。
「ほ、んと・・だよ。」
濡れた唇がそう呟く。心臓がドクン、と脈打った。
「ずっと・・総士が好きだったんだ。」
一騎の声に、言葉に、眩暈がする。
「友達じゃ嫌・・なんだ。」
欲望が僕の全てを侵食する。
「一騎・・・」
「友達じゃー・・嫌だよ、総士っ・・・」
その目が、その姿が、僕を捕らえて離さない。
「総士が欲しいよっ・・・」
僕は、一騎を押し倒していた。
+++
「あ・・・・・、んっ・・」
透き通るような肌に、ゆっくりと口付けをおとす。
一騎はそんな些細な口付けにも反応を見せ、可愛く声をあげる。
総士が舌先で胸の突起を弄ぶと、悦ぶように身体を震わせ、
閉じていた足を無意識に開いた一騎は 自分の中心を主張し始める。
頭をもたげ始めた一騎自身に気づいた総士は
フッ、と微笑を零して言った。
「さっき触って欲しいと言っていたのは・・ここか?」
そう言って、キュッと軽く一騎のソコを握ってやると、
「あぁ、っ・・・!!」
と、いきなり可愛らしい声が返ってきた。
素直な一騎の反応に、総士はまた微笑を零した。
「あっ、・・・やっーーソコ・・・」
総士に組み敷かれた一騎は、身じろぎながら
そんな言葉を零した。
「・・ここを触られるのが嫌なのか?」
そう言って総士は、意地悪く微笑みながら
一騎の中心を布越しに擦りあげた。
「あっ・・、ちがっ・・・」
否定しながら、軽い刺激に悶える一騎。
総士には淫乱で艶かしくみえた。
「何が違うんだ・・?」
総士は今度は優しい声色で、一騎に聞いた。
「もっ・・・と、ちゃんと触って、欲しっ・・・」
苦しそうに肩で息をしながら、背中を這い回る快感に
一騎は意識を混乱させていた。
「ちゃんと?・・・どんな風にーー?」
一騎の口からきちんと言って欲しくて、総士はつい
そんな意地悪を言ってしまう。
総士の言葉を聞いて、一騎は瞳から涙を止め処なく溢れさせながら、
躊躇いがちに総士の左手を両手で掴むと、自分のズボンの中へと
総士の手を滑らせた。
「ここ・・・ちゃんと、触ってっ・・」
上目遣いで自分の中心を直接触って欲しいと懇願してくる一騎。
あまりの可愛らしさに、総士は一瞬記憶を手放した。
「ーーっ、一騎!!」
総士は情熱を込めて愛しい人の名を呼ぶと、
貪るように一騎へと覆いかぶさった。
一騎の中心に触れている総士の左手は、忙しなく
一騎のソレを握り締めたり、擦りあげたりと愛撫する手をやめなかった。
「あぁっ・・・ん・・っ!!・・・そ、・・しぃっ・・・」
痺れるような快感が、一騎の体中に駆け巡る。
総士の手の動きに合わせるように、一騎は腰を振り、
ねだるように総士を見つめた来た。
「そ・・っし、もっ・・・とぉっ・・・」
一騎はいつの間にか総士の背中に手を回すと、縋り付くように
自分のソレをもっと激しく追い詰めて欲しいと懇願していた。
「一騎・・お前ーー」
あまりに淫らな一騎に一瞬驚いた総士だが、一騎の可愛いお願いに
素直に答えてやる事にした。
「あぁ・・待ってろ。今、僕がもっとお前を気持ちよくさせてやるから。」
総士はそう言って動かしていた左手で一騎の膨らみかけていた中心を
ズボンから出すと、自分の口の中へと含んだ。
「はっ、・・・あぁぁぁ・・・!!!」
いきなり自分自身が生温かい総士の口の中へと運ばれ、
一騎は動揺すると共に、押し寄せてくる快感に悶えた。
「ひゃぁっ・・・あっ・・・!!」
口の中で一騎自身を咥えこみ、先端を舌で嘗め回す総士は、
至上の幸福を味わっていた。
そんな気持ちとは裏腹に、一騎は上り詰める快感へと必至に
抵抗していた。
「あっ・・・あぁっ・・・だめぇっーー・・」
色めかしい声を漏らしながら、総士の口の中で、主張する自分自身
の限界を訴える一騎。
一騎の先端からはすでに甘い蜜が零れ、総士の口を汚していった。
一騎は はしたなく思えるほど、自分が腰を回している事に気づき、
恥ずかしくも思いながら、止められない自分を情けなく思う。
上り詰める快感と総士の舌の感覚に
どうしようもなく酔ってしまっている自分の身体はもう手遅れだ。
一騎は半ばそう思いながら、必至に総士へとしがみ付いていた。
いよいよ大きく膨張し始めた一騎のソレに、総士はザラリとした舌先で
一度先端に刺激を与えると、今度は思い切り吸い上げた。
「あぁぁぁーーーー・・・っ!!あっ・・やぁぁぁ・・・んっ!!」
荒れ狂う快感の波に体中を支配された一騎は、
大きな声をあげて、総士の口の中へと白濁とした甘い蜜を吐き出した。
その甘い蜜を、総士は残さずゴクン、と美味しそうに飲み干すと
「一騎は、可愛いな・・」
そう言って、一騎の唇に深いキスを落とした。
「ふっ・・・・ん、っ-------・・・」
総士は角度を変えて、一騎の舌に自分の舌を絡めてくる。
一騎は苦しさから、思わず鼻に掛かった声を漏らしてしまうのだった。
「っ・・んっ・・・っんん------!」
息が出来なくて、必至に酸素を求めようと もがく一騎だったが、
総士は、”まだ足りない”とでも言うように、一騎の口内を侵し、
貪りつくした。やっと唇が離れたときには、すでに一騎は軽い酸欠状態
に陥っていたのだった。
「ーーあ、・・すまない一騎。お前があまりにも可愛いらしいからーー・・」
悪びれた様子もなく、心から謝る総士に、一騎は”はぁはぁ・・”と
呼吸を整えながら、苦笑した。
総士のそういう一生懸命さと、たまに見せる素直さも
一騎の好きなところのひとつだったのだ。だから謝られると、すぐに許せてしまう。
「・・一騎、そろそろ お前の中に入っても、いいか・・?」
「ん・・・いい、よ・・・」
そういって、薄っすらと一騎は微笑を零す。
今日の一騎は本当にどうしたというのか。
いつもの一騎と違うような気さえする。
総士はそんな事を考えていた。
すると、いつまでも行動を起こさない総士に、一騎は
不安がり、自分から行動を起こす。
「総士・・?ーー・・・早く、来て?」
顔を真っ赤に赤らめながらも、積極的に且つ大胆に
自分の両足を広げてくる一騎。
明らかにその格好は淫乱で、総士の情欲を煽り立てた。
一騎が自分を誘っている。
それだけで、自分はイってしまいそうになるというのに、
目の前の一騎は自分の想像を遥かに超えた一騎だった。
総士は一騎へ、さらに深く覆いかぶさると
再び愛撫を再開した。
総士は一騎の胸の突起を甘噛みしたり、
舌で転がしたりしながら、一騎にふと疑問に
思ったことを投げかける。
「一騎・・・どうしたんだ、・・今日は?」
「はっ・・・んっー・・・な、・・・にがっーー」
自分の下で啼く一騎に総士はそっと語りかける。
「いつものお前らしくない・・・・」
総士がそう言って一騎を見つめると、
一騎は一瞬ハッとした顔をした。
先ほどと様子が違う一騎に、総士は愛撫する手を
思わず止める。そして出来るだけ優しく、安心させるように
問いかけた。
「・・・どうしたんだ・・、一騎?」
優しい総士の声色と、穏やかな総士の表情。
真正面から総士を見上げた一騎は、不意に右手を総士へと伸ばした。
右手は総士の左目の傷跡にそっと触れたのだった。
すると一騎は、大きな瞳から涙を零して苦しそうに、
切なそうに顔を歪めた。
「一騎・・・?」
そっと、呼びかける。
呼びかけられて一騎は、少し震えると、
ゆっくりと口を開いた。
「ずっと・・・・苦しかった。」
総士の左目の傷をなぞりながら
一騎は擦れた声でそう言った。
「・・・・・・何が苦しかった?」
そう言って、総士は自分の傷に触れてくる一騎の手を
そっと優しく握り締めてキスをした。
「総士が、友達だって、ことが・・・・・」
「一騎・・・・」
一騎の意外な発言に、総士は少し目を丸くする。
「最初は・・なんでそんなこと、思うんだろうって・・
自分でも分からなかったんだーー。」
「あぁ・・」
「総士は・・ずっと、俺にとって親友だった。ーー、側に居てくれて、
安心できて・・・お前の言う事なら・・・なんでも聞こうと、思って、た。」
「・・・・・あぁ・・」
「お前の事、いつでも信じてた・・」
「あぁ、−・・わかっている」
「・・・でも、この島にフェストゥムがやって来て、戦うことになって・・
沢山の大切なモノ・・失ったとき、思ったんだ・・」
「何を思った・・?」
「・・・・・・お前にとって俺は、沢山の中に居る、
一人でしかないんだってーーー」
「・・・一騎」
「お前には、俺以外にも沢山友達がいる・・守るべき物が、沢山ある。
・・・俺には、何もないから・・。」
「何を言っている・・、おまえにだって友人は居るだろう?
真壁司令だっている・・守るべきものは沢山あるはずだ・・」
「・・で、も・・。俺が戦おうって、思ったのは
・・総士が言ったからなんだ・・」
「えっ・・・?」
「総士が言ったから、戦おうって、思った。・・島のためとか、
皆のためとか、そんな立派な事思って・・・戦ったわけじゃ、ないんだ・・・」
「一騎・・・」
「俺、いつの間にか総士の事・・一番大切に思ってた。
その事に、気づいたら・・・急に、沢山の中の一人ってことに
耐えられなくなってーーー」
苦しげに、顔を歪めて涙を流しながら、一騎は懸命に総士へと
秘めていた想いを語り始めた。
総士は目を細めながら、そんな一騎の言葉を
一つも聞き零さないようにと聞き入っていた。
「俺っ・・・・友達じゃ嫌だって、思った。
友達なんかじゃ・・嫌だって。・・・お前と居るとき、
いつも、心の中で、叫んでたっ------。」
嗚咽を漏らしながら、一騎は顔を両手で隠して、
総士の前で静かに泣き始めた。
総士は、そんな一騎の両手を自分の両手で掴み、
一騎の顔を覆っていた障害を取っ払った。
そして、一騎の顔を覗き込んで言った。
「・・・友達として、僕の側に居る事が、辛かったのか?」
「っ・・・・・・う、んーーー」
「僕の、・・・特別な一人になりたかったのか・・・?」
「−−・・・・・・・・・・・うんっ・・」
涙を止め処なく流す一騎に、一言 一言問いかける。
一騎は総士の言葉に、頷きながら 震えていた。
「そうか・・・・・僕と同じだな。」
「・・・・えっ・・・?」
不意に、総士がふっと優しい微笑を浮かべて
一騎にそう言った。
一騎は何の事だかわからずに、涙を溜めた大きな瞳を
揺らしながら、総士の言葉に驚いた。
「聞こえなかったのか?」
総士は一騎の顔にゆっくりと近づいていくと、
息が掛かりそうな、今にも唇が触れそうな距離で
一言そっと囁いた。
「お前が好きだと言ったんだよ。」
+++
いつからだろう
友達として側に居る事が
苦しくなったのは
君はきっと知らない。
僕がどれだけ君を想い、この身を焦がしていたか。
その深すぎる愛を自分でも抱えきれずに、
自らの胸を、何度押しつぶした事か。
知らなかっただろう?
・・一騎。
「総・・・士・・」
「一騎・・僕はお前が僕を想ってくれる
ずっと前からーーお前が好きだった・・。」
「・・・・・・えっ・・?」
「−−この傷を付けられた時から
もう、僕はお前しか見えなかった・・。」
「そう、し・・・」
「お前が、僕を好きだといってくれたとき・・
夢を見ているのかと思った。」
床に散らばった一騎の柔らかな黒髪をすくい上げると、
僕は指に絡めてキスをした。
愛しくて愛しくて・・堪らなかった。
「ずっと、お前が好きだった。・・友人でいる事が
どんなに苦しくても僕は、・・お前の側を離れる事なんて出来なかった。」
「そ・・しーー」
「僕の世界はもう、・・お前が居ないと意味を成さない。」
そう言って、僕は一騎の唇に 触れるようなキスをした。
「んっ・・・・」
気持ちよかったのか、一騎が思わず声を漏らす。
キスを終え、顔を少し一騎から離すと 一騎はうっとりとした表情で
僕を見つめてきた。
「総士・・・」
僕を呼ぶ声に甘さが含まれていた。
可愛い一騎、本当に素直な奴だな。
僕はクスッ、と笑うと再び一騎に愛撫をし始めた。
「あっ・・・!ーーやぁ・・・、んーー・・」
一騎は先ほどより可愛く、恥じらいながら 僕の愛撫に
反応をみせた。
「フッ・・・・さっきよりも感度が良くなっているな、一騎?」
耳元でそう囁くと、一騎は”うるさいっ”と言って、僕に向けていた顔を
反対側へと向けてしまった。
「なんだ・・、感度は良くなったが、態度がいつもの一騎に戻ってしまったな。」
僕は少し拍子抜けした顔で一騎を見つめた。
すると一騎は赤くなってこう言った。
「薬の効果・・・もう、切れちゃったから・・・・・」
「えっ・・・・?薬?」
僕は思わぬ一騎の発言に耳を疑った。
「・・・・媚薬、もらったんだ・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・媚薬?」
「う、ん・・」
「媚薬ぅぅっーーーー!?」
僕は大声で思わず叫んでしまった。
あまりにも衝撃的な事実だったからだ。
「お、おいっ・・総士・・耳元なのに大声で叫ぶなよっ!」
一騎は少し不満そうに、僕を嗜めた。
「一騎!!・・誰にもらったんだ、その媚薬!!」
媚薬がこの島にあるなんて、僕は知らないぞ。
一体誰がそんなものを・・。
僕は少し混乱しながら一騎に問いかけた。
「え・・・?皆城、乙姫・・に。」
「!!」
乙姫か・・・・
僕はその名前を聞いて、あっさりと納得していまう。
乙姫なら、知っているはずだ。なんせ島のコアなのだから。
「彼女に、最近元気がないって声かけられて・・。それで、俺が
総士に伝えたい事があるんだって、相談したら・・媚薬くれてーー」
「飲めって言われたのか?!」
「あ・・、うん。媚薬を飲んで総士と話せばきっと自分の言いたいこと
も言えて、すべて上手くいくはずだからってーー・・・言われた。」
一騎は上目遣いに戸惑った表情で、遠慮がちに答えた。
「・・・一騎、お前、媚薬ってどういう効果があるのか知ってるのか?」
「えっ・・?言いたいことが素直に言える薬・・じゃないのか?」
「−−・・・・・・・・・・・・・・・・・乙姫が、そう言ったのか?」
「えっ、あ・・・うん。何か、飲むと身体が熱くなって、そのうち理性を
手離すけど、素直に何でも言える前兆だから気にしなくていいって
言われたんだけど・・・・・・違うのか?」
騙されてる。
僕は心底自分の妹に感謝するのと同時に、恐怖を覚えた。
さすが島のコアであり僕の妹。僕の恋に協力的だ。
しかし、媚薬の在り処を知っているところがまた、なんとも恐ろしい。
しかし一騎は本当に騙されやすいな。
僕はいつも一騎の側にいて正解だった。
僕がいなければ今頃一騎は、誰知らぬ奴に喰われていたか、
襲われていたかのどちらかだ。
僕はため息をひとつ吐くと、一騎に言った。
「それでお前は乙姫にもらった媚薬を飲んで、僕のところへ
来たわけか?」
「うん・・。総士は今日、アルヴィスの資料室に一日中篭ってる
はずだから行ってみればって言われて・・・」
「なるほどなーー。それで話している間に、ああなったわけか。」
「えっ・・・?」
「あ、いや・・・なんでもない。」
そう。今朝から僕は仕事に追われていた。
自室で多大な資料をまとめ、資料室に保管しに来たときのことだ。
一日中かかるであろう、山積みの資料の整理を、手伝ってくれると言って
来た人物がひとり。
一騎だった。
わざわざ資料室を訪れ、僕の手伝いをしてくれる一騎。
僕はどれだけ感謝し、嬉しかったことか。
僕は、久しぶりに二人の時間が持てたことにも幸せを感じていた。
しばらく二人で資料の整理をしながら、日常会話を楽しんでいたのだが、
急に一騎の様子が変になって、僕は心配して一騎を覗き込んだ。
すると一騎は頬を蒸気させ、呼吸を荒々しくし始めた。
最初は熱があるのだろうかと一騎の額に手をあてた。
すると一騎の身体がビクンと大きく反応したんだ。
僕は驚いて、慌てて一騎から手を離し、少し距離を置いた。
そしたら一騎はいつの間にか 下半身の中央に手をあてて、
苦しそうに大きな瞳を揺らして、涙を浮かべていた。
僕はまさかと思って、その光景に目を奪われた。
だが、案の定 僕の予想は当たっていて、一騎は僕を見つめて
こう言ったんだ。
『そぉ・・しーー。・・・触っ、て?』
一騎は性欲のせいで熱が篭っていたんだ。
そして現在に至るわけだが・・。
「・・お前、いつ理性を手放したんだ?」
「え・・・。えっと・・、総士に好きって言ったあと、から・・かな。」
「・・・・・・なるほど。じゃあいつ薬の効果が切れて、理性を取り戻した?」
「えっ?−−・・総士に、いつものお前らしくないって言われたとき、
はっとして・・・なんかいつもの自分に自然と戻ってた。」
「・・・あそこか。」
「総士・・・?」
「いや、こっちの話だ。」
「−−−でも、・・そうか媚薬のせいであぁなってたわけか。」
少し残念といえば残念だった。
もう少しだけ、積極的な一騎に誘われて、行為に及びたかった気がした。
「・・・・今の俺じゃ、嫌か・・?」
唐突に、一騎がそんな事を言ってくる。
僕は少し悲しげに僕に縋り付いてくる一騎を見て、
どうしようもなく愛しく思えた。
「−−違うよ、今のお前が一番可愛い。」
そう言って僕は、一騎の体中に口付けをし始めた。
一騎は、”ばか”と僕に軽い悪態を吐いて、恥ずかしそうに言うと、
僕の行為を体中で受け止めてくれたのだった。
+++
「っああ・・ん・・っ!はっ・・・あぁっ・・!」
ギシギシと音を立てて最奥まで総士は一騎を貫き始めた。
淫らな声が静かな室内中に響き渡る。
「あぁぁ・・んっ、やっ、そこーー!!」
一騎が一際甲高い声をあげる箇所を見つけた総士は
ここぞとばかりに、其処を責め続ける。
すると一騎は、弓なりに身体を仰け反らせて、必至に総士へと
しがみ付いて啼き乱れた。
「あぁぁぁーーーっ・・!!」
小刻みに震える一騎。
総士はしっかりと抱きしめながら、巧みな指で、一騎の中心を
追い立てた。
「まっ・・そぅしっ・・・だ、めだ・・・っあ・・・」
一騎は必至に否定しながら、総士にしがみ付いた。
一騎の先端を強くこすりあげると、途端に先走りの蜜が
零れる。一騎は自分の身体の淫乱さに泣きたくなった。
「っ・・・・う・・」
薬が切れているため、先ほどは感じなかった羞恥心が
一騎に襲い掛かってくる。
そんな恥らう一騎を見て、微笑を零した総士は 一騎の目元に
キスをして零れる涙を唇で受け止めた。
「バカだな、・・泣く事ないだろう?・・こんなに可愛いのに。」
「総士も・・バカだ、よ・・・俺が、−−可愛い、なんてっ・・」
しゃくりあげながら、一騎は総士に身を委ねた。
総士はまた微笑を零すと、
「そうだな・・・僕は相当バカかもな。・・お前の事に関してはーー」
そう呟いて、再び一騎を貫いた。
「あぁぁっ・・・・ん!!」
一騎の甲高い声が総士の耳元を掠める。
艶っぽい声と情欲に濡れた瞳。一騎のすべてを総士は愛した。
そして総士は何度かの律動を繰り返し、自分の中心で一騎の中をかき乱した。
二人の限界はすぐ其処まで来ていた。
「そ・・しっ・・・・もうっーー・・もう、イッちゃ・・」
「あぁ・・・俺もそろそろ・・・限界、だーー」
いつの間にか一人称が俺に代わっている総士。
よほど切羽詰っているのだろう。
一方一騎は総士の律動に合わせて喘ぎながらも激しく腰を回して、
総士を受け入れ、求め続けた。
「あっ・・あっ・・・・・あぁぁっ・・・!」
小刻みに震える一騎。総士は思わず一騎の手を握り締めた。
より深く自分を銜え込んでくる一騎を心底愛しく思いながら。
「一騎っ・・・一騎!!」
そして総士は一騎の一番弱い秘所を
思い切り自分の中心で貫いた。
「あぁぁぁぁ、そ、しぃぃーーーーーーっ、!!」
一騎は秘所を貫かれた快感で、自分の中心から白濁とした
蜜を吐き出すと同時に、自分の内部をきつく締め上げる。
すると一騎の内部の締め上げにあった総士自身が、その反動で
一騎の中に多量の蜜を吐き出すのだった。
「っく・・・・・!!一騎ーー!!」
二人は同時に果てたのだった。
+++
「一騎、歩けるか?」
「・・あぁ・・・なんとか。」
「僕の部屋に行こう。ゆっくり休むといいーー」
「うん・・でも、この資料、まだ整理し終わってないけど
・・・いいのか?」
「あぁ・・。お前を部屋に連れてったら、僕が戻ってまた続けるよ。」
「だ、ダメだ、そんなの!!」
急に一騎が声をあげて、少し怒った。
ゆっくりと床から一騎を抱き上げていた総士は 何事かと
目をまるくしていた。
「なんだ、急に・・?どうかしたのか・・?」
「だって、俺、資料の整理手伝いに来たのにーー、
これじゃあ、・・・総士の邪魔、しただけじゃないか・・。」
力なく落ち込む一騎の言葉を聞いて、総士は優しく微笑むと
羽のように軽いキスを唇に落とした。
「っ・・・!総士・・・!」
いきなりの事で驚いたのか、顔を真っ赤に赤らめて
批難の声を漏らす一騎。この上なく可愛い姿だった。
「一騎が悪いぞ。・・僕にそんな可愛い事をいうこと事体が
間違っているんだからな。」
意地悪くそういって、総士は一騎を抱きかかえた。
「ぅわっ!!!な、・・なにするんだ!?」
「なにって・・運ぶんだよ。僕の部屋まで。」
「この状態でか!?」
「そう、この状態で。」
一騎は世に言うお姫様抱きされた格好であった。
「な・・・歩けるって!!」
「ダメだ。無理はするな。歩くどころか、立つのもやっとだろう?」
「うっ・・・」
総士はそう言って、扉を開けるとアルヴィスの廊下を歩き始める。
「総士・・・誰かに見られたら・・・」
「僕は構わない。」
「・・・・お前なぁ・・。」
相変わらずの総士に一騎は軽くため息をつくと、
少し笑って”ありがとう”と呟いた。
そうして無事、誰にも会うことなく、総士の部屋にたどり着いた二人は
早速室内へと入る。
一騎をベッドの上にそっと乗せると、総士は”仕事に戻る”と言って
踵を返そうとしたそのとき・・。
不意に腕を掴まれた。
「一騎・・?」
突然の事に総士は驚く。
「総士、・・ほんとにゴメンな・・」
心底申し訳なさそうに誤る一騎を見て、総士は
”まったくお前は”と小さく苦笑いをした。
「お前が邪魔だったなんて思っていないぞ。・・むしろ助かったんだからな。」
「・・うん。でも、さ。やっぱり俺も手伝うよーー」
「何故だ?・・お前その身体で・・」
「す、好きなのにっ・・・」
「えっ?」
突然一騎が声を張上げて総士の言葉を遮った。
「総士のこと、好きなのに・・・手伝えないのは、辛いよ・・」
好きな人の役に立ちたい。少しでも手助けできるなら。
一騎の真っ直ぐで純粋な恋心が 総士の胸を貫いた。
「・・・・っ。」
総士は薄っすらと顔を赤らめながら、右手で口元を覆い隠していた。
明らかに動揺している仕草であった。
一騎はそんな総士に、”どうかしたのか?”というような顔で見上げてくる。
総士はつくづく一騎は天然だな、と思う。
「・・一騎、気持ちは嬉しいが僕はお前の身体の方が心配なんだ。
だからお前は僕のことより自分のことを気にかけて欲しい。」
「総士・・」
「お前はさっき、”好きなのに”と口にした。ならば僕は、
”好きだから”と口にしよう。」
「えっ?」
「一騎、僕はお前が好きだから ここで休んでいて欲しい・・」
「あっ・・・」
総士の真剣な瞳に、言葉に、今度は一騎が顔を赤らめる番だった。
ドキン、と胸が急速に高鳴り始める。
「・・・・わかったよ、ここで・・休んでる。」
恥ずかしそうに俯いて、一騎は静かに頷いた。
総士は安心したのか、”よかった”と言って少し笑った。
「じゃあ、俺、ここで待ってるから・・」
「あぁ、すぐ戻るよ。」
総士は一言言うと、部屋を出た。
一騎は総士の後姿を見送ると、ベッドに横になった。
「なんか・・・・今の、いいなぁ・・。」
そう呟いて、一騎は静かに瞳を閉じる。
今まで友達として総士の側に居た。
でも今は違う。
総士の最愛の人として、自分は総士の側に居るのだ。
そう思うと、なんだか心の奥がくすぐったい気がした一騎は
総士のベッドシーツに顔を埋めながら、いつまでも総士の
帰りを待つのだった。
トップに戻る NOVELに戻る
こんにちは青井です!!いちおう4000hit祝いです。今回の話はいかがでしたか?
凄く長いですよね。ここまで読んでいただいてありがとうございます!!
感謝です。このお話は 一騎の誘い受け・・のつもりです(爆)
でも性格上、一騎は無理な感じですよね?だから媚薬使ってますが(汗)
このお話は分類なんでしょうか?エロ、シリアス、ギャグ、甘々、ほのぼの
結構入れたつもりですが・・。
とりあえずエロで分類ですかね(笑)
それでは、また是非次回作、読んでくださいね!
2005.5.13.青井聖梨