この想いは永遠だ
嘘じゃないよ
愛よりも深く〜後編〜
「電話線・・・抜いてたんだな。」
総士の部屋に入るなり、一騎は突然そんなことを言い出した。
総士は”あぁ・・”と短く答えて、丸いテーブルの上にカップを二つ置いた。
ひとつは紅茶、もうひとつはコーヒーが入っている。
総士はゆっくりとソファーに腰を下ろすと、コーヒーの入ったカップを口につけて
顔を軽く歪めながら、答えた。
「CDCから仕事の追加連絡が頻繁に掛かってくるんだ。
・・うんざりしたから電話線を抜いた。」
総士らしい行動に一騎は少し苦笑して、答える。
「そっか。・・どうりで掛からないはずだよな。」
「何がだ?」
「え?・・だから電話。」
目を丸くして一騎が答えると、総士は驚いたように言った。
「僕に電話、したのか・・?」
「あぁ。総士を待ってるとき、高台にある公衆電話から何度かしたよ。
・・お前に何かあったのかと思って、心配してたんだ。」
”でも何もなくてよかった”最後はそう呟いて、総士の隣に腰を下ろす。
そして一騎はテーブルの上に置かれたカップを持ち上げ、
総士が今入れたばかりの紅茶を 静かに飲んだ。
「そうか・・・、本当にすまない 一騎。」
総士は先ほどの自分の失態を改めて詫びた。
心配させてしまった事、約束を守れなかった事、全ての事に対して
心から申し訳なく思うのだった。
「ほんとにもう、気にしなくていいからーー。」
一騎の優しい言葉に、総士はまた胸を詰まらせた。
気にしないでと言われると、気になるのが人間というものだ。
納得いかない様子の総士に、困ったように笑った一騎は
ゆっくりとカップをテーブルに置くと、隣に座る総士に優しく問いかけた。
「じゃあ、今なったことにしよう?」
「え・・・?」
ソファーに座っていた一騎が急に立ち上がる。
隣に座っていた総士もつられて立ち上がった。
いきなり何を言うのだろう?総士は少し訝しげな面持ちで
目の前の栗色の双眸を正面から見据えた。
「今、約束の1時になった・・それでいいだろ?」
そう言って一騎は、近くにあった時計の針を動かして
丁度1時にセットした。総士は一騎の言動に、驚く。
「・・・一騎、だが・・」
言いかけて一騎の声に遮られた。
「1時だよ、総士。・・今丁度1時になったところだから・・」
一騎は覗き込むように総士を見上げて微笑んだ。
はにかんだように笑う一騎がとても眩しく見える。
総士はそんな一騎に苦笑すると、一騎の態度に便乗するように態度を変える。
今は待ち合わせの1時になったばかり。自分は今高台に着いて、
先に待っていた一騎と交わす第一声の場面。
そう想定して、総士は遅れず時間どうりに待ち合わせに来た自分を演じ始めた。
「・・・待ったか?」
恋人達がするような、待ち合わせの挨拶。
場違いではあるが、一からやり直そうと試みる。
「うんうん、・・待ってないよ。俺も今来たところ。」
一騎はそう言って淡く微笑む。
「・・そうか。」
自分のやり直そうとする演技に便乗してくれた一騎に感謝しながら、
総士は短く嬉しそうに呟くのだった。
「総士・・」
不意に名前を呼ばれる。
総士は”なんだ?”と憂いを帯びた瞳で優しく答えた。
すると目の前の一騎の頬が上気して、少し恥ずかしそうに身を竦めた。
斜めに頭を傾けて、真っ直ぐと見上げ、甘い声色で総士に呟く。
「今日は来てくれてありがとう・・、嬉しかった・・・。」
いきなり感謝の言葉を紡がれて、今度は総士が顔を赤らめる番だった。
目の前の可愛らしい恋人は 純粋でひたむきで、優しさに満ちた存在だと
心からそう思う。・・いや、そう思わずにはいられない。
余りにも透明で澄んだ瞳の一騎を目の前にして、総士は自分の中で
湧き上がる熱情を胸の中で感じ始めていた。
「いや・・・いいんだ。」
総士は急に気恥ずかしくなる自分を情けなく思いながら、
思わず視線を宙に彷徨わせて言った。
そんな総士に一騎はクスクスと笑い始める。
「な・・・なんだ、一騎、何を笑っている?」
「だって・・総士顔赤い・・・」
クスクスと笑いながら、一騎はとても嬉しそうに言った。
一騎のその態度が自分の主導権を握っているような気がして、少し感に触る。
総士はムッとしながら答えた。
「お、お前だって顔が赤いぞ。」
「え?そんなことないけど。」
先ほどまで恥らっていた態度とは一変して、
今はすっかりと普通に戻ってしまった一騎。
総士は自分だけ一騎の言動に一喜一憂していると感じて、あまり良い気分がしない。
なので少し悪戯をしかけてみる。
「いや、赤いよ。」
そういうと総士は目の前に居る一騎の身体を片腕で抱きしめると、
後ろへと倒れこんだ。
「えっ・・・」
いきなり一緒に倒れこむ形になった一騎は目を丸くして、驚く。
反転していく世界に一瞬目を奪われつつも、後ろに感じた
ベッドの海へと身体が沈んでいくのが感覚でわかった。
ボスッ・・
音を立てて柔らかいシーツが二人の身体を優しく受け止める。
一騎に覆いかぶさった総士が、顔を近づけて一騎の顎に手をかけながら
もう一度呟いた。
「ほら・・・・赤いじゃないか?」
目の前にある鋭く光る琥珀の双眸。カーキ色の長く柔らかな髪。
すらっとした指に顎を持ち上げられて至近距離で総士と見つめあう。
気がつくと一騎は、唇が触れ合いそうな距離まで追い詰められていた。
もちろん、そんな状態で平然と出来るほど大人ではない一騎は
いつの間にか自分の頬が林檎のように赤く染まっていることに気がつくのだった。
「ずるいっ・・・」
少し批難めいた声を出しながら、一騎は総士からを視線をずらした。
しかし総士はそれを許さない。甘い声で、一騎を捕らえる。心も、身体も。
「一騎・・・目を逸らすな。・・・・オレを見ろ。」
いきなり一人称を変えて、目を細めながら誘いを掛ける
目の前の恋人に 一騎は胸を高鳴らせた。
「そ・・・し・・」
鋭く光る琥珀の双眸に、全てを射抜かれたように
一騎の身体は動かない。麻痺している感覚に陥る。
カーキ色の髪が一騎の顔に少し触れて、一騎は更に鼓動を速めるのだった。
そんな、動揺しつつ、戸惑う顔で自分を見つめてくる栗色の瞳を正面から
捕らえた総士は 静寂の中、自分の熱情を真剣な面持ちで零したのだった。
「お前を、・・・抱きたい。」
総士の零した熱情に、一騎は一瞬思考を停止させた。
大きな栗色の瞳が、更に大きく見開かれる。
一騎の身体は自然とその言葉に硬直する。
そんな一騎の様子に、総士は苦笑しながら言葉を紡いだ。
「・・ずっと、抱きたいと思ってたんだ お前を。」
眩しそうに瞳を細め、酷く優しい顔をしながら淡々と
総士は話し始めた。
「僕はいつも、父さんの命令ばかり聞いていた。
・・言われるままに、島の現実を受け止めて 自分の存在を認識して・・」
その口調はどこか切なそうで、苦しそうで・・一騎の胸は少し痛んだ。
「でもそれでいいと思っていた。それが僕の運命ならば、責務であるならば、
受け入れるしかないと思った。・・半ば諦めていたのかもな。」
そう呟くと、総士は一瞬自嘲気味に笑った。
全てを諦めたような表情だった。
「総士・・」
「でも、今の僕は違う。・・命令されてばかりの、あの頃の僕ではない。
命令していた父さんを失ったからだとか そんな理由ではない。
・・ただ、今の僕にはあの頃なかったモノがあるから。」
総士の零した言葉に、一騎は思わず聞いてみたくなった質問をしてみた。
「あの頃なかったモノって・・・なんだ?」
すると総士はふっ、と微笑んで一騎の唇に触れるようなキスをした。
「!!」
一騎は頬を上気させながら驚いて、目を丸くした。
総士は尚も優しい微笑を一騎にむけながら愛しそうな声色で言った。
「愛しい存在・・・、お前の事だよ。」
そういうと、総士は再びキスをした。今度は一騎の鎖骨へと。
「んっ・・・」
敏感な一騎の身体は、鎖骨に感じた熱に少し反応をみせた。
総士は”可愛いよ”と一騎の耳元でそっと囁く。
一騎は総士の囁きに、身体をぞくり、と震わせる。
何だか身体に熱が篭るような感覚だった。
総士は再び一騎を正面から覗き込むと、真摯な瞳で言葉を紡いだ。
「・・護らせてくれないか」
不意に、聞こえた言葉に一騎は目を瞠った。
「えっ・・・、なに・・?」
もう一度目の前にいる幼馴染に聞いてみる。
「好きなんだ、お前が。島の犠牲になどしたくない。
・・・・お前をひとりで 死なせはしない。」
狂おしいほど愛しい存在。
やっと命令ではなく、自分の意志で護りたいと願った人。
総士にとって、そんな存在を見つけることがどれだけ難しく、
どれだけ危険な事か、一騎にも容易にわかる事だった。
誰にも執着せず、心を開けない立場にいる総士が、
自分を好きだと口にすることに どれだけの勇気を必要とし、
どれだけの想いを切り離して 自分を選んでくれたのか。
そう考えるだけで、泣きそうになった。
それでも目の前の皆城総士という人物は、
大切な何かを捨てながらも、自分を受け止め、護ろうとしてくれている。
嬉しくて、苦しくて、切なくて・・堪らなかった。
「一騎、お前を愛してる」
胸に響くような声色で、
琥珀の双眸は一騎の心を小さな檻に閉じ込めた。
栗色の瞳が、薄っすらと細められて、儚く揺れた。
総士の想いが声にのせて 一騎の胸の中に止め処なく流れ込んでいくようだ。
「お前を・・護らせてくれ」
その瞬間、呟かれた総士の言葉に、一騎の瞳からは
真珠色の雫が いくつも頬を伝って流れ落ちた。
「・・一騎?」
頬を伝う涙に、総士は少し戸惑いながら
躊躇いがちに呼びかける。
滑らかな頬にそっと触れ、涙を拭ってやる。
すると消え入りそうな声色で、一騎の言葉が空中に響いた。
「・・るしいよ。」
「えっ・・・?」
上手く聞き取れず、総士は思わず聞き返す。
「苦しい、よ・・・」
今度は聞き取れた。
「・・・・・どうしてだ?」
今度は、言葉の意味を聞き返してみる。
「・・総士のことが、・・好きで・・、好きで・・
好き過ぎて・・・ ――・・苦しいよ・・・・・。」
一騎の涙は、止め処なく溢れ続けた。
総士への想いが 溢れるかのように・・。
「・・・一騎」
総士はそっと一騎の艶やかな黒髪を優しく梳くと、
頬に唇を寄せて言った。
「お前を・・・・抱きたい。
後悔なんてさせない、だから――」
低く、切ない声が一騎の胸の中で大きな波紋を作り出す。
息も掛かるような距離で、琥珀の瞳が淡く光る。
しなやかな指先が、躊躇いがちにいつまでも黒髪を梳いて
”愛しい”と語りかけてくる。
自分を愛していると言った彼の言葉を詰まらせるのは、
きっと彼が抱いた自分への想いなのだと 一瞬自惚れてしまいそうになる。
真剣に、でもどこか苦しそうに自分へと言葉を紡ぐ目の前の幼馴染。
彼にならば、自分の全てを明け渡しても 後悔なんてしない。
するはずもない――そう思えた。
「一騎、お前が欲しい・・」
総士の吐き出すような言葉に、
涙を拭い、一騎は小さく笑ってみせた。
答えはもう、決まっていた。
「うん。・・・抱いて、総士――。」
総士が望むなら、
俺はきっと何だって出来るよ。
+++
静かな部屋に艶かしい君の声。
君の体温が 僕の身を芯まで焦がす。
もどかしくも、卑猥なその姿は 僕を限界まで昂らせては
いとも簡単に弄ぶ。
君はまるで 悪魔のような天使だった。
「あっ・・・、総士っ・・・、だ、めぇっ・・・」
「何が駄目なんだ・・?ここはこんなに悦んでるのに・・」
四肢を微かに震わせながら、一騎の中心はどんどんその形を変えて
存在を主張し始める。先端からは甘い蜜が今にも零れそうだ。
総士はその溢れる蜜を指先に絡めながら、一騎の秘部にその指をあてがった。
「っあぁん・・!」
色っぽい声が総士の部屋に響き渡る。
「一騎・・・ゆっくり慣らすから・・」
琥珀の双眸は儚く揺れながら、愛しい人を宥めるように語りかけていた。
一騎は秘部へ侵入したしなやかな指へ羞恥を覚えながらも、
なんとかやり過ごそうと 総士へと懇願した。
「総士っ・・・キス、して・・・・」
可愛い恋人の懇願に 総士は満面の笑みを浮かべて
その言葉に応えた。
「いいよ・・・、一騎が望むなら。」
そう言って総士は、赤く 柔らかい形の良い唇に最初は
羽のように軽いキスをした。
「・・・っ・・・ん、ん・・」
優しく、その熱を確かめる。
するといつの間にか一騎の腕が総士の首に絡みついてくる。
まるで”深いキス”を要求しているかのようだった。
総士は目の前で自分のキスに酔いしれる一騎をもっと見たくて、
催促されるままに キスを深いものへと変えていく。
「んっ・・・ふぅ、・・っん・・・」
微かに開いた一騎の唇から 自分の舌を滑り込ませた総士は、
歯列をなぞると 激しく強引に 一騎の舌に自分の舌を絡めつけた。
「っふぁ・・・んっ、・・んっ・・・ぅん・・」
キスの合間から聴こえる一騎の吐息は
総士の中心を更に煽り、情欲をかき立てていった。
どれだけ長い時間一騎とキスをしていただろう。
夢中になっていたキスを止め、やっと唇を解放してやると
唇の端からは銀色の糸が後を引いていた。
受け止め切れなかった欲望が 溢れ出していたのだった。
「っはぁ・・はぁ・・」
肩で息をしながら、呼吸を必至に整えようとしていた一騎。
総士はその一騎の姿があまりにも扇情的で 思わず身を震わせた。
「一騎・・・」
熱っぽく総士が一騎の耳元で囁くと、
一騎の身体がピクリ、と反応を見せた。
頬を薄紅色に染め上げて、恥ずかしそうに総士を見つめる。
そんな仕草も堪らなく可愛いと、総士は心から思うのだった。
「一騎のここ・・可愛いね。」
そう言って、胸の突起に手をかける。
「あっ・・・、ん・・・っ・・・」
突起を軽くなで上げるだけで 一騎の敏感な肌は
すぐさま意地らしくも可愛い反応を返してくる。
「一騎・・好きだよ。」
甘い言葉を耳元で何度も囁きながら、
総士は一騎の突起を転がしたり、摘んでみたり、すりあげてみたりと
愛撫をする手を休めずいた。
その度に一騎は身体を震わせながら、必至に襲いくる快感の波に
耐え続けていた。
「っあ・・、ぁあっ・・そ、しぃっ・・・」
喘ぐ一騎の淫乱な姿に熱情は限界まで煽られる。
凄まじい色香を放つ目の前の幼馴染は まるで自分を弄んでいるかのようだった。
「そんな顔をして 卑怯だな、お前は・・・」
自嘲気味に目の前で笑う総士の言葉を
朦朧とする意識の中で聴いた一騎は”なに・・?”と聞き返すが
その言葉も、総士の与えてくる刺激に全てを奪われた。
「あぁんっ・・・」
総士は一騎の胸の飾りを口に含むと きつく吸い上げてきた。
先ほどよりも激しく押し寄せる快感が、一騎を追い詰める。
「やっ・・・そう、しっ・・ダメっ・・・ぁあっ・・」
口内で突起を舌で転がして 軽く甘噛みしてみる。
すると一騎は一際可愛い声で啼き始めた。
「あっ・・あぁ・・そ、しぃっ・・・」
縋るようにきつく抱きついてくる一騎を
口内に入れていた突起から唇を離した総士は、
軋むほど強く抱きしめた。
「一騎・・」
自分の胸に閉じ込めて、その熱を全身に感じる。
愛しい存在が今、自分の手で愛せると言う事実が
総士にとっては 何よりも幸せなことだった。
「お前を愛す。・・この命が尽きるまで」
不意に 激しい激情が、愛の言葉に変わった。
総士の中で 自分の胸に閉じ込めた愛しい存在が
自分の命をも捨てられるほどの大きい存在へと変わる。
総士の深く激しい愛の言葉に、
一騎の身体が一瞬強張った。
「そ・・・うし・・」
一騎は総士の胸に埋めていた自分の顔を上げると、
どこまでも澄んだ栗色の双眸を輝かせながら
めいいっぱい瞳を開いて、肩を竦めながら驚いていた。
「この想いは永遠だ。・・嘘じゃないよ」
そう呟くと、総士は 一騎の手の甲にキスを落とした。
一騎の瞳に再び真珠色の涙が浮かぶ。
また泣きそうになる一騎を見て、
総士は”今日のお前は随分と泣き虫だな”と困ったように微笑んだ。
そして頬を伝って流れる涙を止めようと、
一騎の目蓋に唇を寄せるのだった。
「・・一騎、今度はお前の気持ち
僕に聴かせてくれないか?」
酷く優しく、そして儚く笑う目の前でこちらを一心に見つめる
琥珀の双眸に一騎は ゆっくりと触れると 今度は一騎から総士へと
左目の傷跡に唇を寄せて言った。
「おれも・・好き。・・・・総士が好きだよ・・――愛してるっ・・」
微かに震えた唇が、戸惑いながらも傷跡に熱を与えた。
その触れてきた一騎の体温が、総士の身体を麻痺させるかのように
衝撃と電撃を体中に走らせる。
「総士のために・・・俺は生きるよ」
唇をそっと離した一騎は、真下から総士の琥珀を
覗き込むように真っ直ぐと見つめていった。
大きな栗色が瞳の奥に総士を捕らえる。
一騎の双眸に捕らえられた総士は、
呼吸を一瞬忘れたかのように その美しい瞳に心を奪われていた。
総士の身体中が、目の前の美しくも儚い恋人の全てを
欲しがって 疼き始める。
「一騎・・・・・」
情欲に濡れた低い声色でその名前を呼んでみる。
するとすぐにでも、返事は返ってきた。
「総士・・・」
その声色は、何処か熱を帯びていて
彼の全てを壊してしまいたい衝動に一瞬駆られる。
しかし、淡く光る栗色の双眸は 自分の全てを見透かしている気がして
とてもそんなことは出来ないと心から思った。
「一騎・・・ひとつになろう。」
総士は自分に巣食う、衝動を押さえ込むと
遥か昔に一度だけ 口にした事のある 懐かしいその言葉を
一騎へと紡いだ。
あのとき口にした言葉こそ一緒だが、今はもう
口にするその意味が違っていた。
想いも、関係も、理由も・・全て。
「うん。」
そして、君の 応えも。
+++
「っあぁ・・・、あぁ・・んっ・・!!」
一騎の秘部にあてがった総士の中心は
速い律動を刻むとともに、その容量を増していった。
「っく・・・一騎、・・もっと足・・・開いてくれ。」
一騎の内部が総士のモノをきつく締め上げて
上手く奥まで貫けない。
少し苦しそうに総士は息を吐きながら、一騎に頼んでみる事にした。
「っふぁあ・・・、ダメぇっ・・・ひらけな・・・、ぃっ・・」
激しく腰を揺らしながら その律動の衝撃が与える快感と
一騎は必至に戦っていた。
総士は 淫乱に目の前で全てをさらけだす一騎に苦笑すると、
一騎の両足を 自らの手で強引に押し開いた。
すると、一騎の秘部がより露になって 其処からは 甘い蜜がくちゅくちゅと、
音を立てて響く音が聴こえた。
「やっ・・・!・・みる、なっ・・・!!」
総士と繋がっている秘部をじっと凝視され、
一騎は見る見るうちに赤くなる。
羞恥心で頭がどうにかなりそうだった。
「どうして・・?」
少し悪戯っぽく微笑んだ総士に、
一騎は生理的に流れる涙もそのままに、
視線をずらして そっぽを向いた。
「一騎、そんな顔するなよ?」
視線を故意に外した一騎は少しご機嫌斜めのようだ。
”総士の意地悪!”とでもいいたそうな目つきで
話しかけてくる総士を無視する。
「・・・・・」
「参ったな、・・お前にそんな態度をされたら
僕はお手上げだよ・・」
すぐに降参した総士は、組み敷いていた一騎の身体を強引に
腕へと抱きすくめ、反省するのだった。
総士に覆いかぶさるように 優しく抱きしめられた一騎は、
少し納得いかないものの、抵抗することなく素直にその温度を体中で受け止めた。
「・・総士っ。」
静かな沈黙の中、急に一騎に名前を呼ばれた。
「ん・・?なんだ。」
一騎は嬉しそうに、言葉を紡ぐ。
「さっきの台詞・・・もう一回、言って――?」
「・・さっきの?・・どんな台詞・・?」
そう聴くと、一騎はまた顔を赤らめて、”ほらっ、命がどうとかって・・”と
口で もごもご、言いずらそうにしていた。
総士は軽く笑って「あぁ、あれかぁ・・」と思わせぶりな態度をとる。
すると一騎は 総士がまた意地悪しているのだと勘違いして、
恨めしそうな瞳で見つめてきた。
また機嫌が悪くなるのを恐れた総士は、”いいよ、何度でも言うよ”と
軽快な口調でそう答えた。
そして総士は、繋がっている身体もそのままに
再びさっきの台詞を復誦して言った。
先ほどまでの和やかな空気から一変し、
総士は真顔になって 下に組み敷いた一騎へと言葉を零す。
「お前を愛す。・・この命が尽きるまで」
滑らかな頬を優しく片手で撫でながら、そういうと
「うん・・・」
と一騎から返事が返ってきた。
総士は嬉しくなって、続けて囁く。
「この想いは永遠だ。・・嘘じゃないよ」
「うん・・・」
染み入るような総士の声に、心地よさそうに
一騎は瞳を閉じて答えていた。
不意に、一騎の頬に触れていた総士の手が
一騎の美しい形をした薄桃色の唇をなぞり始める。
その言動に少し驚いて、瞳をゆっくり開けば、
いつの間にか至近距離まで近づいていた琥珀の瞳と視線がぶつかった。
唇はもう、触れ合う距離で。
「一騎・・・」
先程とはまた別の雰囲気を醸し出しながら
総士は低く、甘く、誘うような熱っぽい声色で
交わる瞳もそのままに 一騎を二人だけの楽園へと、墜としにかかった。
「僕の永遠を お前にあげるよ」
一騎が堕ちた、瞬間だった。
「っはぁ・・・、あぁぁっ・・・!!」
愛撫を再び再会して、だいぶ時が経過した。
そろそろ二人の身体は限界だった。
激しく増す律動に合わせて腰を振った一騎は
自分の限界を相手に伝えるべく、腕を首に絡ませて
「そ・・しぃ・・・、もっ・・・もう、・・・・!!」と先を促した。
「あぁっ・・・今、楽にしてやるからっ・・・」
総士はそう言って、上気した一騎の肌と自分の肌を
密着させながら、一騎の最奥を 勢いよく貫いた。
「あぁぁぁ・・・っ、総士ぃぃっ―――!!!」
甲高い声で啼いた一騎は身体を大きく仰け反らせると、
膨張した自分の中心から白濁した甘い蜜を先端から吐き出した。
「っく・・一騎―-----!!!」
一騎がイったことにより、内部の締め付けがより強くなった。
その衝撃で 総士もほぼ同時に、一騎の中に甘い蜜を吐き出したのだった。
二人だけの楽園に、僕ら
やっと辿り着いたんだな。
一騎・・・。
薄れ行く意識の中で そんな事をふと、
総士は思っていた。
+++
「電話線、入れるか・・」
シーツに包まりながら、二人肩を寄せ会う。
他愛のない話をただ、ひたすらにしていた。
そんなとき、ポツリと総士がうわごとの様にそっと呟いた。
「いいのか・・・?仕事の電話、掛かってきても・・」
総士の腕に抱かれながら、一騎は目を丸くして
少し意外そうに 総士の顔を至近距離で見つめた。
「あぁ、・・どうせCDCに行けば遅かれ早かれ仕事は頼まれる。」
ちょっとだけ不満そうな顔をしながら、深いため息を吐いた総士。
そんな総士に一騎は”大変だな”と軽く苦笑すると、
「頑張れ。」
と一言短く呟いて、総士の頬に優しく手を添えた。
総士は気持ちよさそうに琥珀の瞳を細めると、
「あぁ、・・お前のために頑張るよ。」
と甘えるような声色で 一騎の耳元にそっと囁いた。
一騎はくすぐったそうに、淡く微笑んだ。
「仕事の電話しか掛かってこなかったから、電話は苦手だったんだが・・
お前から電話が掛かってくるなら、案外電話もいいモノかもしれないな。」
総士はそんなことを言いながら、一騎の肩を抱いていた腕に力を込めて
一騎を更に引き寄せた。
「そ、総士っ・・」
いきなり引き寄せられて 総士の胸にピタッ、とくっつく態勢になる。
総士の規則正しい鼓動が耳元で聴こえてきた。
触れ合った肌が互いの温もりを伝えて、愛しさを呼び寄せる。
一騎は頬を赤く染め、胸を高鳴らせながら、総士にされるがまま 身を委ねた。
「今度忙しいときは、お前に電話してもいいか?
・・声が聴きたいんだ。」
擦れた声で熱く耳元で囁かれ、一騎は更に頬を上気させた。
「・・うん、いいよ。俺も・・総士に会いたくなったら電話するから・・」
恥らったように 総士の胸の中で小さく笑う一騎の
可愛い発言に、今度は総士が顔を薄っすらと赤らめ始める。
「まったく・・・、お前には勝てないな。」
ため息混じりにそう言われて、”何が?”と顔を上げてくる一騎。
総士は抱きしめた腕に力を込めると こう言った。
「・・僕はお前に溺れてるよ、一騎。」
そして僕らは、触れるようなキスをした。
君に向かう この想いは、
決して何ものにも負けはしない。
何故なら
この想いは、
愛よりも深く・・・
僕の心に存在し続けるのだから。
NOVELに戻る 〜前編〜
はい、どうもお疲れ様でした!!こんにちは、青井です。
後編いかがでしたか?めちゃくちゃ長くて疲れたでしょうね(笑)
どうですか、総士は。砂吐くくらい甘い台詞連発させたつもりですよ〜、これでも。
一騎にも負けじと色々言わせてみたのですが・・総士優勢ですかね?
優しい総士、可愛い一騎を思い浮かべながら性的行為をさせておりますが・・
なんだかあまりエロくはなりませんでしたね(汗)少し反省しております。ごめんなさい!
5000hitキリ番を踏んでくださったM様、リクエストありがとうございました!!
是非またお暇なときに 遊びにいらしてくださいね。心よりお待ち申し上げておりますvv
ありがとうございました!!
2005.7.9.青井聖梨