触れるほど切なくて
触れた数だけ 愛して欲しかった




交わる理由なんて




きっと、それで充分なんだ・・・










ありのままの君でいて













夕暮れに背を向けて、二人黙って歩き出す。
繋いだ手から、相手の温もりが伝わってくる。
俯きながら歩く一騎。前を見据えて歩く総士。
二人の感情は、明らかに違うものだった。
だが、向かう先は同じなのだと 
夕日が知らせてくれているようで、
総士は、繋いだ手を 更に強く握り締めた。
一騎はされるがままに そんな総士の力を
黙って掌で受け入れていた。


もうすぐ、闇が辺りを支配する時間が
近づいていた。














「・・あ、ありがと。送ってくれて。」


ぎこちなくそう言う一騎の言葉に、少し苦笑いしながら
総士は”いいや”と優しく答えた。


「あの・・総士・・・」


言いかけて、少しだけ躊躇う。言い辛いのだろう。
総士は黙って一騎の言葉を待った。とても、・・穏やかな気持ちで。


「・・今回は島、帰ってくるの いつもより遅かったんだ、な。」


”やっぱり俺のせいか?”と間接的に一騎は聞いてきた。
視線を総士から逸らしながら、自然と手は拳を作り上げていた。
緊張がそうさせるのだろう。
そんな一騎を目にして、総士は自嘲気味に笑いながら言葉を紡いだ。


「あぁ。・・最新システムを習得するのに時間がかかったんだ。」


総士の言葉を聞いて、一騎は”嘘だ・・”と心の中で呟いた。
システム操作を熟知している総士なら、最新だろうがすぐに把握できるはず。
習得するのに時間が掛かったなんて、到底ありえない話だ。
自分は総士の近くにいつもいたから、それくらいわかる。
一騎は眉をひそめて、軽く歯を喰いしばりながら、総士の嘘を
心の中で指摘していた。

けれど、総士が自分のために優しい嘘を吐いたのだと思うと
一騎の中でどうしようもない愛しさが胸を締め付けた。


目の前で一騎が苦しそうに顔を歪めて 一人で葛藤してる様を
総士は眺めていた。おそらくそんな一騎の思考を表情から読み取ったのだろう。
総士は静かに、

「嘘ではないんだがな・・」

と言って薄く笑ってみせた。


不意に、一騎の肩に温かいぬくもりが 優しく触れた。
瞬間、一騎は逸らしていた視線を総士の顔に向ける。
すると総士は淡く微笑んで、宥めるように言った。


「・・今日はゆっくり休め。明日色々話そう。」


そう言った途端、肩にあった優しい温もりが 離れようとした。
一騎は思わずその手を掴む。
温もりが離れていくのが、淋しくて。・・・怖くて。


ガシッ、としっかり握られた手。いきなり掴まれて総士は目を丸くした。
一体どうしたんだと、一騎に聞こうと顔を覗き込んだ。
するとそこには、今にも泣きそうな表情で 大きな瞳を揺らした一騎が
静かに自分を見上げて言った。


「俺の部屋・・・来て・・」


消え入りそうな声だった。
でも確かに総士の耳には届いたのだった。
気づけば、一騎の頬が薄桃色に上気している。恥ずかしいのだろう。
総士の手を掴んだ一騎の手に、いつの間にか力がこめられている。
緊張しているのだ。そして一騎の肩が微かに震えている。
・・怖いのだろう。
身体は強張り、表情は堅かった。大きな瞳は憂いで帯びて、微かに動揺を
映し出していた。――無理をしているのだ、と総士は思った・・。


部屋に総士を誘う。つまりこれは、
明らかに一騎からの”お誘い”というわけだ。


総士は、今自分を引き止めたくて
無理に身体を明け渡そうとしている一騎に少し胸を痛めた。
自分が一騎を追い詰めている。総士は、そう確信していた。
自分の不甲斐無さに軽いため息を吐く。一騎を護ると決めたのに。
総士は島に戻ってきてから、改めて自分のした覚悟を頭で確認する。
そして気持ちを落ち着かせると、一騎に言った。


「一騎、そんなことを無理に言わなくてもいい。・・僕はお前が本当の意味で
僕に身体を許してくれるまで待つよ。もう焦ったりしない、大丈夫だ。」


そう言った途端、大きな栗色の瞳が激しく揺れた。
総士は尚も言葉を続ける。


「今まで通り、ゆっくり進めばいいさ、二人で。僕は何があっても
もう、お前の側を離れたりなどしない。距離を置こうなんて言わない。
・・・だから、怖がらなくていいんだ 一騎。」




どんどん綺麗になっていくお前が
誰かに取られはしないかと
僕はいつからか焦り始めていた。

けれどもう大丈夫。

君は僕のために身体を無理にでも明け渡そうとした。
その、痛いくらいの想いを僕はちゃんと知ることが出来たから。
君が危なくなったとき、僕の名前を真っ先に呼んでくれたから。
君が求めているのは僕なのだと 気づく事が出来たから。

だから僕は 大丈夫。
君のその想いできっと、この覚悟は より強いものとなるだろう。



揺ぎ無い覚悟を胸に、真摯な瞳で一騎を見据えた。
総士の琥珀の双眸が、一騎の瞳の奥にくっきりと映る。
一騎に優しく微笑みかけた総士は、掴まれた手を
そっと解いて 一騎の頬に手を添えようとした、瞬間―。

今度は一騎が抱きついてきた。
総士は驚愕し、目を瞠る。


「・・一騎・・?」


安心させたはずの相手が 微かに肩を震わせながら
自分にしがみ付いてくる。一体どうしたのか。
さすがの総士も、そこまで思考が追いつかなかった。


「ちが・・、うんだっ・・」


少し擦れた声色が 胸の中で響いていた。
総士は思わず怪訝な表情を浮かべて問い返す。


「何が違うんだ・・?」


すると返答は即座に返された。


「今・・抱いて欲しいんだ、総士にっ・・」


「えっ・・・?」


きゅっ、と総士の腕をしっかり握り締めてくる一騎。
予想に反した一騎の答えに、総士は少し戸惑いだした。


「でも一騎・・お前、震えて・・」


そうだ。一騎の身体は恐怖で震えている。
無理に抱くわけには、いかない。


「抱かれるのが怖いとか・・そんなんじゃないんだ・・。
本当に怖いのは、・・今抱いてもらえない事で――」


いきなり胸に埋めていた顔を上げ、総士を見つめて そう叫んだ一騎の
大きな栗色の瞳からは、自然と涙が零れていた。
壮絶に美しい透き通った その涙が、溢れる想いを総士に伝えた。


「か、ずき・・?」


「おれっ・・剣司に触られたとき、怖いと思った。
総士じゃなきゃ、嫌だって・・心の中で叫んでた。・・それで気づいたんだ。
大切な人に愛してもらえるってことが どんなに嬉しい事で
・・・どんなに幸せな事かって。」


溢れる涙もそのままに、一騎は必至に総士へと自分の思いをぶつけていた。
総士はそんな一騎を ただただ穏やかな双眸で見つめ返していた。


「お、れっ・・・あのとき、無理にでも抱いてもらえばよかったって・・後悔したんだ。
だから・・・今、総士に抱いて欲しいんだ。今度は無理になんかじゃない。
・・これが、今の俺の望みなんだ。・・欲しいんだ、総士がっ・・触れられるだけで
身体が熱くて、どうしようも・・ないんだっ・・・」


頬を上気させて、瞳を濡らして、眩暈がするほどの色香で誘う。
一騎の言葉一つが熱っぽくて、あまりの可愛さに意識を手離しそうになる。
総士はくらくらしながらも、自分が望んでいた一騎の心からの誘いに
精一杯答えるため きつく一騎を抱きしめた。
一騎の妙に高い体温が布越しから窺える。
一騎の言っている事は事実なんだと、容易に確認できた。

総士は思ってもみない展開で動揺しつつも、ずっと待ち焦がれた一騎を
手に入れることが出来るのかと思うと、嬉しさで胸が震えるのがわかった。
同時に、あっけなく必要なくなった覚悟が少し悲しげに頭を過ぎる。
なんだか少し拍子抜けしてしまったな・・、などと総士は心から思う。

でもコレはすべて現実なのだと、胸に収まる温かな熱を感じて
改めて実感した総士は 一騎に最後の確認を取った。


「・・・本当に、いいのか・・?
     引き返せなくなるぞ・・・?」


本気を滲ませた声色で、そう静かに問いかければ
大きな栗色の双眸が 琥珀を捕らえて、言った。





「いいよ。・・・後悔なんて、しないから――。」



触れるほど切なくて
触れた数だけ 愛して欲しかった




交わる理由なんて




きっと、それで充分なんだ・・・







+++







「っはぁ・・・」


畳の擦れる音がする。
窓から入る風が、心地いい。
風に揺れる、白いカーテンが 闇に薄っすらと浮かんで
幻想的に見える。


一騎の部屋は、僕の部屋と違って純和風だ。
周囲を見渡せば、机と椅子に洋服ダンス。生活に必要とされるものが
辺りに散漫している。さすがにしっかりと家事全般をこなしている。
乱れた箇所などなく、本棚なども綺麗に整えられている。
清潔感が部屋の中から溢れでている気がした。


畳の上に敷かれた薄水色の布団からは、干したばかりだとも
いうように まだ太陽の匂いと温もりが残っていた。
一騎の生活観が窺える。そして、布団からはほんのり一騎の匂いがする。


「っぁあっ・・・、そ・・しぃ・・っ」


必至に僕の首へと手を回してしがみ付いてくる一騎は
卑猥な体勢で淫靡な色を瞳に滲ませ、僕を誘ってくる。
僕は思わず息を呑むと、即座に一騎の中心をよりきつく扱き始めた。


「あっ・・、あぁ・・ん、い・・やぁっ・・・!」


恥じらいを見せながらも、華奢な身体はどんどん僕の扱きに反応
し始める。一騎の身体がこんなに淫乱で感度がいいとは思わなかった。


「一騎・・・気持ちいい?」


僕が耳元でそっと低く呟いて見せれば、


「ぁ・・っ、・・・ん・・・、気持ち、いい・・・」


素直にそう答えた。


色っぽく薄桃色に染まった頬は更に上気し、体中が性感帯のように
反応をする。肌は赤く高揚し、薄っすらと額に汗が滲む。
目の前の一騎があまりに煽情的で、自分の中心に熱が集まるのがわかった。


ギシッ・・


布団のシーツが擦れる音が耳に響く。
全てが僕を煽っているのか 誘っているのか、もうわからない。
喘ぐ一騎の声が 妖艶な双眸と一致して、闇に浮かぶ。
僕は興奮して、貪りように一騎へと濃厚なキスをした。


「っんぅ・・・ふっ・・・」


くぐもった熱っぽい声が部屋中に響く。
薄っすら開いた一騎の唇に舌を侵入させ、思いっきり歯列をなぞると
きつく一騎の舌に自分のそれを絡ませる。一騎は戸惑いがちに
僕の舌を受け止めながら、次第に激しくなっていく僕の舌の動きに
追いつこうと必至だった。
そんな一騎の可愛い舌を僕は思い切り吸い上げると、更に口内を激しく
侵食して貪っていった。


「っ・・・、んん・・・っふぁっ・・・」


僕が中々離さない唇からは、苦しそうな一騎の声。
気づけば銀色の糸が口の端から漏れていた。
受け止めきれない僕の想いが零れ落ちたようだ。


「っはぁ・・・っ」


やっと僕は唇を離す。すると、一騎は肩で息をしながら呼吸を整えていた。
瞳からは綺麗な真珠の涙がぽろぽろ、と流れ落ちていた。
僕は下に組み敷いた一騎にそっと手で頬をなで上げた。
一騎はビクン、と反応する。感じているのだ。


「ふっ・・、可愛いな お前は・・。 さっきのキス、少し激しすぎたか・・?」


薄く笑って、意地悪くそういって見れば、一騎は恨めしそうに僕を
軽く睨んでいってきた。頬はさらに上気していた。


「ばかっ・・・!なんてこと聞いて・・」


恥ずかしそうに視線を僕からずらす。
僕は喉の奥でククッ、と笑うと一騎に言った。


「そういう反抗的なところも・・可愛いな。僕を誘ってるのか・・?」


「なっ・・・」


何を言っても一騎は可愛い。この愛しさは一体どこから生まれてくるのだろう?
僕は自分が相当重症だな、と頭の片隅で思いながら 再び一騎に愛撫した。
一騎の胸の突起を弄ぶ。


「あっ・・・!」


いきなり始めた愛撫に、一騎は非難の言葉を喘ぎに変えて口にした。
桜色をしたその突起は すでに堅くなりピクピクと震えている。
僕はその突起にしゃぶりつくと、舌で転がしたり、甘噛みしたりと
充分堪能しながら、一騎を攻め立てていった。


「ぁあっ・・、そ、しぃっ・・」


妖艶な声色と淫靡な身体。清廉な瞳の奥は 僕を捕らえて離さない。
口を突起から離し、軽く摘んでやれば、小さな喜声が部屋に響いた。


「あぁんっ・・!」


先ほど扱いた一騎の中心が膨張し、主張し始めた。
堅くなり勃起している。
僕は一騎のそれをまじまじと見つめた。
僕の愛撫に喜んでいる一騎の身体が堪らなく魅力的にみえる。


「やだっ・・・、見るなっ・・・」


羞恥心で必至に手で隠そうとする中心を、
僕は”させない”と呟いて、一騎の手を頭の上で拘束した。


「どうして?・・僕を感じている証拠じゃないか・・」


僕は熱い吐息を一騎の頬に吹きかけて、厭らしい口調で
言葉を放った。
栗色の瞳は大きく揺らぎ、薄桃色の頬は 朱色へと変わっていく。


「もっ・・やだっ・・」


瞳からは再び綺麗な宝石がいく筋も零れ落ちた。
可愛いと思いながらも、涙を見ると どうしてこう胸が痛むのだろうか。


「一騎・・・」


急に切なくなって、その溢れ出る涙を舌で舐め取ってやれば、
拘束していた腕がピクリ、と反応して動く。
僕はその微かな動きに気づくと、拘束した手を離してやった。
するとその手は、僕の背中に回されて、縋るように抱きついてくる。


「総士っ・・・お、れ・・もう・・」


”早く感じたい”とでも言うように、一騎は僕に抱きついてきた。
焦らしていた身体が限界に来ているのだろう。更なる刺激を求めて、
一騎の身体が僕へとまとわりつく。
さっきまで切なかった胸は、今目の前にいる一騎のおかげで
すっきりとしていた。というか、早く一騎の中に入りたいという衝動にかられる。
疼く自分の身体を制しながら、僕は一騎に言った。


「僕の熱を受け止めてくれるか・・、一騎?」


「んっ・・・、受け止める・・・だから・・」


「あぁ・・、わかってる。」


催促する一騎の言葉を遮って、僕は一騎の秘部へと指を差し入れた。


「ぁぁああっ!!」


いきなり入ってきた異物感と衝撃で、一騎の身体が軽く跳ね上がる。
僕は、一騎の身体をしっかりと抱きしめながら、ソコを充分に慣らしていく。
初めは一本、次に二本と指の本数を増やしていった。
室内には、厭らしい水音がくちゅくちゅと響き渡った。

初めてのことで一騎も戸惑いながら、羞恥心や痛みと戦っている様子だった。
目をきつく閉じ、与えられる痛みに身体を震えさせながら耐えている。
とても健気で美しい風貌は、僕を魅了したと同時に、明らかに煽っていた。

充分なれたと思えたので、僕は秘部から指を抜き出す。
そのとき僕の指に絡み付いていた一騎の内壁が淋しそうにうごめいた。
僕はその淫乱な身体に微笑する。


「一騎・・・入れるぞ?」


そう言って、僕は一騎の唇に触れるようなキスを落とした。
一騎は微笑んで、僕の背中に回していた腕に力をこめる。


「うん・・・」


短く答えた一騎の返事が合図となって、僕は一騎の慣らしたソコへと
自分の勃ちあがった中心を激しくあてがった。
一騎の中に入っていく僕の熱は 初めて受け入れる僕の大きさに驚き、
端々を引きちぎって進んでいく。


「ぁああっ!!いたっ・・いぃ・・・」


一騎の秘部から血が流れ出す。その痛みに耐えかねて、一騎は
悲鳴ににた叫び声をあげ、僕の回していた背中に軽く爪を立てた。


「一騎っ・・・!」


出来るだけ労わってやりたいが、既に自分には余裕がない。
それにココで躊躇うよりも一気に中へ入れてしまえば、
一騎もだいぶ楽になるはずだ。
そう思って僕は、少し強引に僕の熱を中へと収めた。


「ぁああっ・・」


一騎は小刻みに震えながらも僕を受け止めようと必至だ。
僕は一騎の震える身体を更にきつく抱きしめてやる。


収まりきった僕のそれは、自己主張を初め、中でうごめく。
僕は、一騎の耳に優しく呟いた。


「・・動いていいか?」


すると一騎は、


「いいよ・・」


といって、背中にまわしていた手を首に絡めなおした。



僕は了解を得たのですぐさま実行に移す。


ギシッ・・ギシッ・・



無機質な音が部屋中に響き渡る。
規則正しい律動に、一騎の身体は翻弄され、弄ばれる。
腰を振り、僕の熱を更なる奥で受け止めようと、一騎は必至だ。
僕は僕で、疼く自分を一騎の熱でどうにか消化させようと必至だった。


熱い・・気持ちい一騎の内壁は、指以上に絡んできて 僕を強く締め上げる。


「あっ・・・、あっ・・・、んん・・」


僕の刺激に溺れる一騎は 壮絶なまでに美しく闇に同化している。
色っぽい一騎に、刺激を与えながら 僕は一騎の首筋や胸の近くに
赤い花を散らしていった。微かな刺激にも反応する一騎は、
いつの間にか律動を自ら早める行為に及んでいた。


「あっ・・・、ぅん・・・、そっ・・・、しぃ・・もっとぉ・・・!」


善がる一騎の声が可愛くて愛しくて、思わずまた、濃厚なキスを
仕掛けてしまう。


「っ・・・・、んっ・・ふっ・・ぁ・・」


今度は一騎の舌が驚くほど積極的に絡みつく。僕は激しく口内を物色し、
息も溜まるくらいの動きで吸い上げた。
その間、忘れずに一騎の中心をすりあげたり、扱いたり撫で回したりして
追い詰めていた。一騎の先端からはトロトロ、と甘い蜜が漏れ出して
限界が近いことを知らせている。


ようやく唇を離すと、一騎の瞳はうっとりとしながらも
ぼうっとしたように意識が途切れがちになっている。


「一騎・・・イこう、二人で。」


「そ・・し・・」


僕の言葉に途切れがちに答えた一騎は
ゆっくりと頷いた。


僕は自分のモノを先まで引きずり出すと、一騎のいい場所を
忙しなく貫き始めた。その律動に、一騎は甲高い喘ぎで応戦する。


「あっ・・・・あんっ・・、いやぁっ・・・あぁ・・・っ!!」


狂ったように声を上げ、僕に縋りつく一騎を僕は追い立てた。
熱っぽく一騎の名前を呼ぶと、一騎は喜んで腰を振った。



「くっ・・・・一騎っ・・・!!」


「あぁっ・・・!!そ、しぃぃっ・・・!!」


僕は一騎の最奥を勢いよく突き、一騎の中心の先端を爪で引っ掻いてやれば、
一騎の先端からは白濁とした液が勢いよく吐き出されて 辺りに散漫した。

僕はというと、同時に一騎のきつい締め上げにあって、
甘い蜜を一騎の中で 思う存分吐き出した。


僕は力尽きて、前のめりになると 下にいた一騎がそんな僕を
抱き支えてくれる。
覆いかぶさった、僕を 一騎は意識もおぼろげに しっかりと抱きしめてくれた。


「一騎・・・?」


僕は少し驚いて、一騎の顔を窺えば、一騎は栗色の瞳から
止め処ない涙を流し、静かに泣いていた。


「一騎・・・・」



僕は少し身体を起こすと あまり力の入らない指で 一騎の涙を拭ってみせた。
すると一騎がこちらを向いて、僕の額にコツン、と自分の額を合わせて言った。



「嬉しいと・・・涙、出るんだなっ・・・」



知らなかった、と一騎は淡く微笑んだ。
その儚く涙で揺れる栗色の双眸に胸を射抜かれる。
僕は布団に散らばった一騎の艶めいた柔らかな髪をそっと掬い上げ、
指に絡めて言った。


「あぁ・・・そうだな。」


僕の優しい声色に一騎は目を細めると 僕の左目の傷に触れてきた。
その滑らかな指先が 傷の跡をゆっくりと辿っていく。


「総士・・・」


「なんだ・・・・?」


正面から大きな瞳に覗かれて、一瞬胸を高鳴らせながら
穏やかに返事をしてやる。
触れてきた指を空いている手で掴んで、口元に寄せる。
手の甲に軽いキスをして、再び自由にしてやれば 僕の髪に今度は
触れてきて、優しく撫でてくれた。


「・・・好き」


唐突に零れた、甘い言葉は 僕の心を揺さぶった。
僕は 幸せそうに、でもどこか苦しそうに笑う一騎を
真摯な瞳で見つめると 静かに返事を返した。





「知ってるよ」





そして僕らは、どちらともなくキスをした。













どうか愛しい君よ、
いつまでもそのままで。












僕はきっと
ありのままの君が好きだから。



だからどうか、














ありのままの君でいて――――。








 NOVELに戻る  〜後編1〜


はい、お疲れ様でした。青井です!いかがでしたか?
あまりエロっぽくならなかったですね。エロ・・というより、甘い二人の関係重視で書いてました。
いつもより少しは甘い出来(精神面で)になったのではないでしょうか?どうでしょう?
それに自分としては結構短くなった気がします。
それでは、この辺で。読んで頂いて、ありがとうございました!
2005.7.1.青井聖梨