いつも僕を見つけてくれたのは




                                 君だった








                            サヨナラを響かせて

                                 〜序章〜








「み〜つけたっ!」


柔らかな声が空から降ってくる。
零れそうな栗色の大きな瞳が僕を捉えると、
嬉しそうに微笑んで僕を頭上から見下ろした。


「一騎・・・」


いつものことだが、僕は驚愕する。


かくれんぼをすると、決まって一騎は僕を一番最初に見つける。
他の奴が鬼だと、絶対僕は最後まで見つからないのに。
一騎が鬼だと一番最初に見つかってしまうんだ。
僕はそれが不思議でならなかった。


一度だけ、聞いてみた事がある。
どうしてそうも簡単に僕を見つけられるのか。
そしたら君は、言ったね。



「総士のこと、いつも見てるんだもん・・わかるよ!!」



当然のように、あっけなく笑う君。
僕の心に、その答えは 甘い旋律の調べを響かせて
柔らかな風と共に届いてきた。

僕は無性にお礼が云いたくなって、
一騎に云おうとするのだけれど

この甘く広がる想いを、どう伝えたらいいかわからなくて・・
不器用な僕は、気の利いた言葉ひとつ言えずに ただ



「ありがとう・・・」


と瞳を彷徨わせながら、短く云った。




せめて無理にでも笑えたら良かったのに。
僕は・・やっぱり嫌になるほど不器用で。

ーーーー君にありがとう、しか言えなくて。


せめて、夢の中だけは 上手く笑えたらいいのに・・

なんて、君の夢を見る度に非現実的なことを思ったりする。


不器用な自分。少しでも変わって、君に沢山の”ありがとう”を伝えたい。
君の傍でいつでも笑っていられる自分に、変わっていきたい。
そして、この胸に甘く広がる想いが何なのか、知りたい・・心からそう思った。


まもなく、
僕は島の現状を知る事になる。


この胸に広がる想いの名前を知った、その瞬間にーーーー。











NOVELに戻る   〜1〜


こんにちは、青井聖梨です。
今回の話は、疎遠 総一話です。
もうすぐドラマCD発売なんで、それに近い設定でvv
ということで、見ての通り連載です。今回は出来るだけ短い量の連載ですので
比較的読みやすいかと思います。

それでは少しの間、御付き合いくださいませ!!
2005.10.12.青井聖梨