やっぱり



傍に居たいよ・・











サヨナラを響かせて
〜4〜










窓から吹く風が優しく髪を撫でた。
今日の朝、起こったことが嘘のように 教室は穏やかだ。
赤い夕日が、窓に反射して 教室中を照らした。
綺麗な深紅が俺の周りを包み込む。


まるで、あの日 俺の両手についた 血の色のようだ。

生温かい総士の血。
俺は生涯忘れる事はないだろう。




「・・・総士」



想いが宙を彷徨った。
言の葉が呼んだのか、心が呼んだのか
その名前が自然と口から零れ落ちて

・・・涙が滲んだ。




「そ・・ぉ・・・、しっ・・ーー」



置いてかなければよかった。
総士の言った事は嘘なんだと叫べばよかった。

総士とこんな風に離れるくらいなら、何だってすれば良かった。


誰も居ない教室に、ひとり ただ泣いていた。



総士の机を指でなぞる。



今日、総士は朝の事件以来、見向きもしてくれない。
朝、・・総士が廊下でしてくれた事を思い出す。


冷たい言い方に聴こえたけど、
総士なりに誠意を持って 女子の告白を断った事実に
気づいた俺は、急に自分が言った事が恥ずかしくなって・・。
総士に謝ろうと思って 形振り構わず引き止めた。

普段なら そんなことしてないかもしれない。
でも もう、”あの時ああすれば良かったのに”って後悔するのは嫌だったから。
だから勇気をだして引き止めた。


そしたら、総士が



総士の裾を掴んでいた俺の手を・・・





強く・・握り締めてくれてーーーーーーー





一瞬 夢なんじゃないかって、思った。



総士は何も言わず、走っていってしまったけど・・・
でも俺ーーそれだけで、嬉しくて


泣きそうだった。






だけど・・・やっぱりあれは




「夢、だったのかなぁ・・・」




自分で言った言葉に、自分で傷ついていた。


視界がぼやけて、何も見えない。
見えるのは 総士の机だけ。



「そ・・・し・・・」




俺はただ、総士と繋がりたくて

温もりを求めて、総士の机に
唇を寄せた。




ーーーーキスを落とした瞬間、






カバンを落とす音が、扉附近で聞こえた。




「!!」




振り返ると、琥珀色の長い髪の少年が
そこに、佇んでいた。





俺は言葉もでない。





「・・・・・・・・かず、き?」





驚愕の瞳で、銀色の双眸が俺を見つめてくる。




「っ・・・・・」



俺は、涙を拭うと顔を逸らした。




「・・・・・・・・・・・・・泣いて、いるのか?」



驚きと、でも何処か優しさを含んだ声色が
俺の心に響いてくる。




なんで・・・こんなとこ、見られちゃったんだろう。



後悔ばかりが、胸を突く。



「一騎・・・・・・・・」




いつになく優しく聴こえる総士の声に、
また泣きそうになって



「っ・・・・ーーーー!!」



俺は教室を飛び出した。





「一騎!!!!」







総士の声が、遠ざかる。





風より速く、走れたらいいのに。
ここではない何処かで、人知れず消えてなくなれたらいいのに。
それとも風にいっそ、溶けてしまえたらいい。

そうすればもう、こんな苦しい想い、しなくて済む。



今度こそ




総士の傍に、きっと居られる。





総士・・・









今度こそ 傍に















居てもいいか?













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こんにちは、青井聖梨です!!
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!!

さて、今回も一騎視点です。総士を想う自分の姿を目撃された一騎のお話。
一番書きたかった場面は、総士の机にキスをする一騎です。
なんか想いが深い仕草に見えませんか?
私、好きな人の洋服とかを抱きしめたりする仕草って結構グッとくるんですよね〜。
ははは・・ちょっと危ないですか?(笑)
次回で完結になります。あともう少しだけ、御付き合いくださいませvv
それではこの辺で。
青井聖梨 2005.10.18.